定義の難しさ

ある事柄を差別と判定する場合、告発する者の伝達能力・表現力と受け手の感性に因るところが大きく、客観的事実として差別の存在を証明するのは実際にはそれほど簡単ではない。
なぜなら、差別として疑われるとある待遇について、その待遇が正当か不当かについては、時と場合によって様々な解釈ができ、議論の余地があるためである。
例えば、最終学歴が高卒程度の者に対して、大卒程度の者を優遇すること(学歴差別)は正当か不当かといった価値命題は、科学的に論定することができない。
差別は普遍的な実体として存在するものの、その定義付けは困難であり、定義不能とする研究者も少なくない。