こども庁の創設を目指す自民党の国会議員有志グループの会合が9月8日、衆議院第二議員会館で開かれ、地方公務員を対象に「子供行政への要望・必要だと思うこと」を尋ねたアンケート調査の結果が報告された。「最も課題と思うこと」については、「行政の人手不足」「予算の不足」に加えて「府省庁の縦割り」を挙げる声も多く、こうした声も踏まえて同党の地方議員の会がまとめた「こども庁の設置を求める要望書」が党本部に提出された。同グループでは今月22日、自民党総裁選の候補者を招いて、こども庁創設についての考えを聞く場を設ける方針。

 子供行政への要望などに関する地方公務員へのアンケート調査は、今年7月から8月にかけて行われ、地方議員の紹介で、子供に関する部局で勤務経験がある地方公務員303人が回答した。

 「最も課題だと思うこと」(複数回答)については、「行政の人手不足」(31%)が最も多く、次いで「予算の不足」(19%)、「職員の専門性不足」(18%)、「煩雑な事務手続きの負担」(17%)、「府省庁の縦割りによる県や国との連携」(11%)となった。自由記述では、「長時間残業が恒常化しており、抜本的に人員が不足している」「業務が多すぎて新たな取り組みに着手できない」といった声に加えて、「国の所管省庁が異なるため、同種の申請書類を各省庁に提出する必要があるなど煩雑」と行政の縦割りの弊害を訴える声もあった。


要望書を受け取る野田衆院議員(左端)

 こども庁創設に向けた要望については、「組織体制について」(56%)、「個別政策について」(26%)、「現場の意見の尊重について」(14%)などとなり、具体的な要望として、「母子保健、保育、教育と子供の成長段階で窓口が変わり分かりにくい」などと組織の一元化を求める声や、「教育委員会への連携や協力を強力に指示できる権限を持たせてほしい」という声が寄せられた。

 会合では、地方議員の会がまとめた「こども庁の設置を求める要望書」が、同党の「こども・若者」輝く未来創造本部実現会議で座長を務める野田聖子衆院議員に手渡された。同要望書にはアンケート結果も踏まえ、▽専任の大臣の下で、強い権限を持って子ども・子育てに関する施策を一元的に所管する「こども庁」を設置する▽家族関係政府支出を欧州先進諸国並みの対 GDP 比 3 割程度に拡大する▽自治体間における子どもの医療費負担の格差を根絶するため、未就学児までの子どもの医療費は全国一律の国の保障制度にすること――などが盛り込まれた。
https://www.kyobun.co.jp/news/20210908_05/