9/20(月) 13:04配信 食品新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/46ae7d5a33dc7ff060e7d0e62e2ef33c71eb8627

 缶チューハイなど(RTD)が低アルコール化の動きを見せ始めている。

 これまで拡大が続いていたストロング(高アル)が減少に転じており、一方でスタンダード(中アル)が伸長。背景にはコロナ禍で高まった健康志向がある。

 どの部分を高アルや中アルと見るかによって数字は変わるが、最近は一般にアルコール分8〜9%をストロング、5〜7%をスタンダード、それ未満を低アルと分類することが多い。

 コロナ前までは高アル・中アルともに伸長を続け、特に高アルの伸びがRTD市場全体を牽引していた。現在はその動きも鈍り始め、今年上期の高アルは二ケタ以上の大幅減だった。

 高アル疲れも背景に挙げられる。
 コロナ前から高アルを飲み続けると疲れるといった声はあった。コロナ禍以降は在宅勤務の定着や外出自粛などもあり家庭で過ごす時間が増え、飲酒時間が増えたところで高アルを飲み続ければ「疲れるから敬遠したいという人も現れる」(メーカー)といわれる。

 また、世界的に進むアルコールの有害使用に対する懸念もある。
 世界保健機関(WHO)は有害使用の削減を掲げ、日本でも今年3月にアルコール健康障害対策推進基本計画(第2期)が閣議決定された。

 この流れの中では高アル商材を広告などで積極的に訴求することは難しくなり、「これらが総合して減少に転じた」(メーカー)。メーカーらは中アル帯の商品投入や訴求に注力、高アルの構成比が3割前後になったのに対して、中アルは6割前後に達した。

 低アルでは、最大勢力のサントリー「ほろよい」がやや数字を落としたものの、キリン「氷結無糖レモン」、アサヒ「贅沢搾り」が健闘。8月24日発売のサッポロ「ウォーターサワー」は発売前の出荷数量が年間計画の4割を突破した。

 高アル市場の減少は避けて通れないといわれる中、受け皿は7%ともいわれる。7%は酒感を満足して感じられる度数ともいわれ、飲食店で提供されるサワー類でも多い度数だ。

 また、「9%ユーザーが5%にまで落とすと、飲み応えが落ちるだけでなく量が増えてしまい、結果として飲み過ぎる」(メーカー)といった声もあり、「高アルと中アルの境目の位置づけ」ともいわれる。

 7%帯では宝「焼酎ハイボール」が伝統的な雄だが、サントリー「こだわり酒場のレモンサワー」も躍進。サッポロ「濃いめのレモンサワー」も順調だ。

 9%ユーザーの中には「9%しか飲まない」という人も一定数あり、9%市場は残るとみられる。それでも多くの関係者は、5%も伸長するだろうが、9%→7%の移行が一定程度続き、この度数帯が活況を帯びるとみて、対応を急ぐ構えだ。