「駅で出所者を顔認識」とりやめ JR東「社会的合意まだ得られず」

主要駅の安全対策としてJR東日本が7月から、顔認識技術を用いて刑務所からの出所者、仮出所者の一部を駅構内で検知する仕組みを導入していたことがわかった。
JR東の施設などで重大事件を起こした人を想定。国の個人情報保護委員会と相談して判断したとしていたが、同社は21日、「社会的なコンセンサスがまだ得られていない」として取りやめた。

同社によると、検知対象として、指名手配中の容疑者や駅で不審な行動をとった人に加え、乗客らが狙われたテロ事件などで服役した出所者や仮出所者を想定していた。痴漢や窃盗などは対象外という。

容疑者として逮捕された時点で報道された顔写真などをデータベースに登録。出所後、駅構内に設置した顔認識機能がある防犯カメラに映ると自動的に検知する仕組みで、駅の警備員らが声をかけ、必要に応じて手荷物を調べるケースを想定していた。

同社は、事件の被害者らに出所や仮出所を知らせる「被害者等通知制度」に基づき、被害者の立場で出所者情報の提供を受ける立場だという。
主要110駅や変電所などに、ネットワーク化されたカメラ8350台を設置し、東京五輪・パラリンピックへ向けた安全対策として7月6日に運用開始を公表したが、出所者情報を取り扱うかどうかなど具体的な運用方針は明らかにしていなかった。

JR東が一部出所者らを顔認識の検知対象にしていたことについては、読売新聞が21日に報道した。
JR東は9月時点で出所者、仮出所者の登録がないとした上で「新聞報道や外部からの意見を踏まえていったん軌道修正し、当面はやらない」と説明した。指名手配者や不審者を対象とした運用は継続するという。

https://www.asahi.com/articles/ASP9P64GLP9PUTIL02D.html