自民党総裁選が17日告示され、29日の投票日に向けて公開討論会が行われているが、それに先立ち、米有力紙ワシントン・ポストが「日本の指導者コンテストの勝者は安倍晋三だ」という一文から始まる分析記事(9月16日付電子版)を掲載している。
指導者コンテスト、つまり、総裁選の勝者が安倍氏とはいったいどういうことか?

■財政出動は終わらない

この一文の後には「政治的ご都合主義とパンデミック下の経済状況は、元首相の名前を冠した政策から離脱することがますますありえなくなっていることを意味している」と続く。
元首相の名前を冠した政策とは、言うまでもなくアベノミクスのことである。同紙は、総裁選をしても、日本は結局アベノミクス路線から離脱できないと見ているのだ。
ゆえに、総裁選の勝者は安倍氏と明言しているのである。

アベノミクスは財政出動、金融緩和、そして、成長戦略という「3本の矢」にフォーカスしていたが、同紙が日本はアベノミクスから離脱できないとしているのは、日本の経済回復が始動したり停止したりしている状態であるため、財政出動が近い将来に終わることはほぼ考えられないという理由からだ。

総裁選の候補者たちは選挙のことも考え、アベノミクス路線をとっていると以下のようにも述べている。

「河野氏も高市氏も岸田氏も、特に選挙が近づいているため、何らかの形でさらなる予算拡大を行うことを支持している。いかなる意味のある金融緩和の縮小もなお現実的ではない」

 また、コロナ禍の経済状況を考えると、財政出動がいっそう重要であるとも主張、アベノミクスが目標としていた2%の物価上昇も石油価格が崩壊するまでは達成できそうだったことを踏まえ、コロナ危機の中では、アベノミクスが捨て去られることはないだろうと見ている。

■アベノミクスを継承するしかない日本

さらにはアベノミクスに代替する政策が日本にない現状も指摘している。

「2%の物価目標を達成できるかが疑問視されているが、(アベノミクスにかわる)いかなる代替体制も、候補者たちが求めている成長達成の助けになるとは思えない」とし、実際に、高市氏と岸田氏は2%の物価目標を重視しており、河野氏も金融政策を日銀に委ねていると、候補者たちがアベノミクスを継承しようとしていると示唆している。

そして最後に「日本は何も変わっていない、失われた30年だという批判があるが、事実はずっとありふれたことだ。安倍氏の基本方針に変わる実践的な政策が、単に、さほど多くないのである。次期首相はそれを踏襲することが賢明だろう」と日本はアベノミクス路線を継承するしかない状況であると指摘している。

以下略
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20210920-00259108