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Jiji Press

黒田総裁、中国でバブルのリスクない−1980年代の日本と状況異なる
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(ブルームバーグ): 日本銀行の黒田東彦総裁は29日、中国恒大集団の債務問題で顕在化した中国不動産市場の混乱を発端に危機が起きるリスクはないとの見解を示した。

欧州中央銀行(ECB)主催のフォーラムで行われたオンライン形式のパネルディスカッションで黒田総裁は英語で、中国の不動産問題は日本が1980年代終盤と90年代初めに「経験した問題とは若干異なる」とし、「不動産市場への極めて投機的な投資は中国のケースには当てはまらないようだ」と語った。

中国当局は長期成長を経た後の「不動産活動の過剰な拡大」を抑制する措置を講じているが、「現段階では、この問題が中国の不動産市場全体または中国経済全体まで反響・影響が及ぶ可能性はかなり低い」と論じた。

さらに「私が見る限り、恐らく欧米にも当てはまることだが日本の金融システムについて、特定の不動産グループないし中国の不動産市場全体への直接的なエクスポージャーはかなり限定的だ」とした上で、「中国から世界に広がる大規模な金融危機が起きる公算は小さいと考えている」と述べた。

中国恒大、国際金融市場全体の問題とは考えてない−黒田日銀総裁

日本経済については、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に失った分を2021年終盤または22年序盤までに取り戻すとの見方を示した。今年度の成長率は「かなり低水準になる可能性がある」が、「来年は約4%またはその程度の成長率を実現する可能性が高い」とした。

さらに、ワクチン接種を完了した人の割合や緊急事態宣言などの解除を踏まえると、個人消費は「かなり低調な」状態から徐々に拡大すると指摘した。

また黒田総裁は、来月初めに予定されている首相交代の結果として金融のスタンスが変わることはないと示唆した。岸田文雄次期内閣がいかなる財政・規制政策を採用しても、日銀は「極めて緩和的な金融政策を維持」することに変わりはないと発言。日銀の目標は2%の物価目標に可能な限り早く到達することだとし、「その任務の変更の可能性は低い」と述べた。

日銀が必要に応じて追加金融緩和を実施する方針もあらためて示した。

原題:Kuroda Rejects China Bubble Risk, Says It’s Not Like 1980s Japan(抜粋)

(c)2021 Bloomberg L.P.