https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20211005-00000037-mai-000-2-view.jpg
職員から大きな拍手を受けて車に乗り込み、財務省を後にする麻生太郎前財務相=東京都千代田区の財務省で2021年10月5日午後0時6分、町野幸撮影

麻生氏「官房長官相手にえらい目」 “言いたい放題”で財務省に別れ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20211005-00000037-mai-bus_all

 麻生太郎前財務相は5日、財務省の幹部職員を前に退任のあいさつをした。岸田文雄首相を引き合いに「あちらは、ええ男。まだ何もしていないのに支持率が上がっているんだから。こっちは立派な成績を出したって支持率が下がった」と述べて笑いを誘うなど、最後まで「言いたい放題」だった。

 麻生氏は岸田氏について「面と向かって申し上げました。あちら(岸田氏)はどう考えてもええ男、我々はどう考えても『けんか買います』みたいな顔してますから、支持率は上がらんのです、って」と独自の見解を披露。そのうえで、自身の後任の鈴木俊一財務相の就任で「おおいに財務省のイメージも明るくなってくると期待している」とエールを送った。

 一方、財政の現状について「だましだまし来て、国家予算の3割が福利厚生という異常事態になっとる」と、少子高齢化により社会保障費が増え続けていることに危機感を示した。財務相時代、一定所得がある高齢者の医療費窓口負担の引き上げに取り組んだことに触れ、「最後の最後まで、厚生労働省に近かった官房長官を相手にしてえらい目に遭いましたけど、結果として一応の道筋はつけてある」と、加藤勝信前官房長官を示唆しつつ振り返った。

 また、新型コロナウイルス感染拡大後、各国の財政出動や金融緩和によって個人の金融資産が大幅に増えているとして「金が回らなければ、いくらあったって置物になっちゃう。豊かになった国民がどう気持ちよくためた金を使ってくれるかということを考えていただくのが、(財務事務)次官にお願いした宿題です」と述べた。

 麻生氏はその後、鈴木氏への引き継ぎを終え、財務省正面玄関で渡された大きな花束を手に車に乗り込んだ。大勢の職員が拍手で見送り、麻生氏は満面の笑みで車の窓から手を振りながら財務省を後にした。【町野幸】