https://www.businessinsider.jp/post-243602
・中国警察の元刑事が新疆ウイグル自治区のウイグル族の人々に対する拷問の手法を明かした。
・感電させる、水責めにする、睡眠を奪う、飢えさせる、性的虐待を加えるといった拷問が行われていたという。
・アメリカのバイデン政権は3月、中国の行為は「ジェノサイド(大量虐殺)、人道に対する罪」だとの認識を示した。

新疆ウイグル自治区で働いていた中国警察の元刑事は、10月5日に公開されたCNNのインタビューで、自身や同僚の刑事が行った拘留者に対する拷問の手法の一部を明かした。
拘留されている少数民族ウイグル族の人々に対して、「タイガーチェア」と呼ぶ椅子に拘束して身動きを取れなくしたり、天井から吊るしたり、感電させたり、水責めにしたり、
睡眠を奪ったり、飢えさせたり、性的暴行を加えるなどの拷問を行っていたという。

CNNのインタビューでは、この男性の名前は「ジャン氏」とされている。
これは、今も中国で暮らしている自分の家族に中国政府が報復するのではないかと男性が恐れているためだという。
インタビューはジャン氏が現在、亡命生活を送っているヨーロッパで行われたものだとCNNは伝えている。

少数民族を標的とした中国の「暴力的テロ猛撃キャンペーン」の下で刑事をしていたジャン氏は、CNNによると新疆ウイグル自治区の複数の地域に「3〜4回」、数年にわたって配置されたという。
尋問の過程で拘留者は全員殴られ、14歳の子どもも例外ではなかったとジャン氏は話している。
「あざができたり腫れ上がるまで、蹴ったり殴ったりしていました」
「彼らが床にひざまずき、泣くまでです」

Insiderでも報じたように、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は4月、中国による新疆ウイグル自治区のウイグル族の人々の収監、拷問、失踪、文化的抹消に関する53ページに及ぶ報告書を公表した。
アメリカのバイデン政権は3月、こうした行為は「新疆ウイグル自治区におけるジェノサイド、人道に対する罪」だとして、中国政府に制裁を課した。

「それぞれがさまざまな手法を使っていました。中にはバールや鍵付きの鉄鎖を使う人間もいました」とジャン氏はCNNに語った。
「容疑者の顔を踏みつけて、自白を迫ることもありました」
ジャン氏は、政府が言うようなテロ関連の犯罪には、誰も関わっていなかったと思っていたという。
「彼らは普通の人々でした」

しかし、拷問は彼らが自白するまで終わらなかったとジャン氏は話した。その後、彼らは刑務所または収容施設に移送されたという。
中国警察には、何人のウイグル族の人々を拘留するか、割り当てがあったとジャン氏は明かした。
CNNによると、警察はまとまった人数を一斉逮捕するためだけに、地元の指導者らに地域の住民全員を集めるよう求めることもあったという。
1年でウイグル族やその他の少数民族およそ90万人が拘留されたと、ジャン氏は話した。
「全ては計画済みで、体制が備わっていました。全員が目標を達成しなければなりませんでした」

指示に従わない人間がいれば、刑事が頭に銃を突きつけ、殺すと脅したと、同氏はCNNに語った。
身柄を拘束した後、刑事らは拘留者の携帯電話やパソコンからデータをダウンロードしていたという。

「自白させたい時は、先端に2つの突起物がついた電流の流れる警棒を使います」
「相手を縛り付けた状態で、この突起物に電線を2本結んで、それを性器に近付けるんです」
刑事や看守の中には、拷問を楽しんでいる人間もいたという。ジャン氏はすぐにこの仕事に「幻滅した」とCNNは伝えた。
同氏は、拘留者に性的虐待を加えるよう、別の拘留者に指示する看守や刑事までいたと話している。

新疆ウイグル自治区出身のウイグル族の学者アブドワリ・アユップ氏(48)は、複数の看守の指示を受けた12人以上の他の拘留者から集団レイプを受けたとCNNに語っている。
CNNによると、アユップ氏は最終的に、「違法な資金集め」を行ったと強制的に自白させられた後、2014年11月に施設から解放されたと話している。
「(収容施設で)わたしたちの受けた苦痛が消えることはないし、わたしたちの心から消え去ることもないでしょう」とオミル・ベカリ氏(45)はCNNに語った。

2017年に仕事の都合で新疆ウイグル自治区を訪れたベカリ氏は、警察が同氏にテロの罪を認めさせるために4日間拘留し、拷問したと話している。
その後、ベカリ氏は収容施設に8カ月留め置かれたという。
「初めて足を鎖でつながれた時、自分は地獄に来たんだとすぐに分かりました」とベカリ氏はCNNに語っている。