公立学校教員の長時間勤務は文部科学省も問題視し、学校現場に働き方改革を促している。

 同省は来年度に全国の実態調査を行い、結果次第では給与体系の在り方を見直す可能性もある。

 文科省は従来、学校行事などの「超勤4項目」に該当しない残業は「教員の自発的行為で公費支給はなじまない」とし、
労働基準法上の労働時間ではないとの立場を取ってきた。

 しかし、2016年に行った小中学校教員の勤務実態調査で、小学校で3割、中学校では6割の教諭が、
過労死ラインとされる月80時間超の残業をしていたことが判明。文科省は19年、1カ月の時間外勤務が45時間を超えないよう求める指針を全国の学校に通知し、残業の抑制を求めた。

 さらに、部活動の地域移行や公立小の35人学級の導入、教員免許更新制の廃止など、教員の負担軽減策を打ち出した。
これらを踏まえ、22年度の実態調査で残業時間の減少幅を確認する考えだ。

 一方、給与体系見直しには財源確保が大きな課題となる。働き方改革案をまとめた19年の中央教育審議会答申は、
残業代を支払うべきだとの意見に対し、「教育の成果は必ずしも勤務時間の長さのみに基づくものではない」などの反論が出たと記し、制度改正に慎重な姿勢を示した。

 しかし、現状のままでは優秀な人材の確保が困難となる可能性もある。20年度の公立小教員の採用倍率は過去最低の2.7倍となり、
教職の魅力をインターネット交流サイトに投稿してもらう「#教師のバトン」プロジェクトでは、逆に長時間労働など劣悪な職場環境を訴える告発が相次いだ。

 ある文科省幹部は「残業手当の支給は難しい」としながらも、教職調整額を月給の4%から引き上げることなどが検討課題だと語った。 
https://news.yahoo.co.jp/articles/36d5b0a3c6fa9add935714f80d4828cb034ba8ec