0001七波羅探題 ★
2021/10/13(水) 21:59:55.28ID:aQLsHMsC9https://www.afpbb.com/articles/-/3370184
【AFP=時事】イスラエル東部にある死海(Dead Sea)沿岸のローマ帝国時代の遺跡から採取された2000年前のナツメヤシの種子を、サラ・サロン(Sara Sallon)氏(72)が栽培しようと思い立った時、植物考古学の専門家には鼻で笑われた。
「研究者たちには、『正気とは思えない。うまくいくはずがない』と言われました」と、英国系イスラエル人で自然薬を研究しているサロン氏はAFPに語った。
しかしサロン氏は、死海特有の乾燥し切った環境が功を奏して、種から芽が出るのではないかと考えた。その予想は的中した。
種子は1960年にマサダ(Masada)要塞(ようさい)の遺跡で見つかった。マサダは、紀元1世紀にユダヤ人がローマ軍との戦いで山上にとりでを築いて立てこもったことで有名だ。
サロン氏とプロジェクトを進めた持続可能な農業の専門家、エレイン・ソロウェイ(Elaine Solowey)氏(68)は、辛抱強く、細心の注意を払って、ナツメヤシをその種から育てることに成功した。
サロン氏率いる研究チームは、米科学誌サイエンス(Science)に昨年掲載された論文の中で、古代ユダ(Judah)王国はデーツ(ナツメヤシの実)の産地として有名で、このデーツは大きくて甘く、薬効があるとして当時、珍重されていたと記している。
サロン氏は、古代の植物の種をよみがえらせるプロジェクトは、新奇な試みというだけではなく、気候危機や種の大量絶滅に直面している地球に「希望の光」を与えてくれたと話す。
「ひょっとすると、私たちの周りにある素晴らしい種は、絶滅しないのかもしれません」として、自然には「いざというときの奥の手がいくつかある」のかもしれないと言う。
「何千年も休眠し、絶えてしまったのだと思われていた種が突然パッとこんなふうによみがえるんです。エレインのような黄金の手の助けが必要なわけですが」
■研究者と「押し問答」して古代種子を入手
サロン氏は2000年前のナツメヤシの種の栽培計画に取り組む前に、500年前のハスの花の種を発芽させた話を読んでいた。
2004年、イスラエルのバルイラン大学(Bar-Ilan University)に連絡を取り、マサダの要塞跡で見つかり、同大学で保存しているナツメヤシの種を少し分けてほしいと頼んだ。
バルイラン大学の植物考古学の研究者たちには「正気じゃない」と言われたが、めげることなく、古代の種子が発芽した例を示した。
「押し問答の末に」5個の種を入手。ヨルダン国境近くのキブツケトゥラ(Kibbutz Ketura)を拠点とするソロウェイ氏に話を持ち掛けた。
ソロウェイ氏は当初、2000年前の種と聞いて、発芽は無理だと答えた。だが、「やってみて」とサロン氏に言われたと振り返る。
最適な栽培方法を数か月間考えたソロウェイ氏は、化学肥料ではなく、酵素肥料を使用することにして、多くの種類の植物を栽培している自身の温室で、3個の種の発芽を試みた。しかし芽が出る気配はなく、数週間がたった。
■栽培過程で一つでもつまずけば、すべてがだめに
ところが2005年3月のある日、一つの鉢の土の表面に小さなひび割れが入った。根が張り始めた証拠だ。
鉢に植えた三つの種のうち、発芽したのは一つだけだった。愛称は、長寿で知られる旧約聖書の登場人物の名前「メスーゼラ(メトセラ、Methuselah)」になった。
しかしメスーゼラは雄株で、実をつけなかった。
栽培方法は間違っていないと分かり、サロン氏は、雌株を得るためさらに多くの種を求めた。
そして昨年ようやく、「ハナ(ハンナ、Hannah)」と名付けた雌株が約100個の実をつけた。
今年8月、さらに多くの収穫があり、実が800個なった。水分は少ないが、薄茶色でほんのりと蜂蜜のように甘い。
9月になってハナの妹に当たる「ジュディス(ユディト、Judith)」が移植され、より多くの結実が期待されている。
サロン氏は、デーツの収穫を安定させるには手間暇をかけ、「子ども」を扱うように世話をする必要があると説明する。
デーツが育つプロセスは安定していない。うまくいくと「見事なデーツ」がなるが、「一つでもつまずけば、すべてがだめになってしまいます」と話した。【翻訳編集】 AFPBB News