文春オンライン 11/1(月) 6:12

 10月21日、神奈川県警の現職警察官が逮捕された。受託収賄容疑で逮捕されたのは、大和署勤務の警部補・加藤聖容疑者(48)だ。

「加藤は、警察が扱う遺体の搬送業務を大和市の葬儀会社『林間葬祭』に斡旋する見返りに金品を受け取っていました。逮捕容疑は19年3月以降、13回にわたり現金と商品券約200万円分を授受していたというもので、余罪を含めて捜査しています」(社会部記者)

 林間葬祭を実質的に経営していたのは、宮前署警部補・河合博貴容疑者(65)の妻・恵子容疑者(60)。夫妻も贈賄容疑で逮捕された。

「加藤と河合は、同じ課に所属していた先輩後輩の間柄でした。河合は定年退職後に再任用されて宮前署で働いていましたが、大和署の刑事一課で遺体の検視を担当していた加藤と頻繁に連絡を取り合っていた。林間葬祭とトラブルになった加藤が今年2月、自ら県警に打ち明けて事件が発覚しました」(捜査関係者)

 県立高校を卒業後に警察学校に入校した加藤。県警では、本部の捜査一課や相模原署、厚木署で強行犯捜査などを担当してきた。

「剣道の有段者で、身長も185センチ以上あります。あだ名は“ラオウ”。機転も利くので被疑者の取り調べがうまく、調書を書かせてもピカ一です。彼の機動隊は職務質問からの犯罪検挙件数が抜群に多く、表彰されたこともあった。県警幹部にも気に入られ、治安が悪い地域の所轄に送り込まれては活躍してきました」(県警関係者)

 だが、“凄腕刑事”の顔を持つ一方、問題行動を繰り返してきたという。

部下を殴る、蹴る、尻にバイブ…数々の問題行動
「部下を殴ったり蹴り上げたりするのは、日常茶飯事でした。競馬などのギャンブルも好きで大酒飲み。酔っ払うと部下を深夜に呼び出し、家まで車で送らせていました」(同前)

 機動隊の小隊長を務めていた07年には、隊員の訓練期間中に“暴行事件”を引き起こしていた。

「宿舎で酒を飲んでいたのですが、機嫌が悪かった加藤さんは若手隊員の余興がつまらなかったことに腹を立てた。一発芸のために用意された蝋燭を垂らしたり、バイブレーターを尻に刺したりしたのです」(同前)

 翌年、耐えかねた若手隊員らは上司に直訴したが、

「洞爺湖サミットが近かったため、不祥事が公になるのを恐れた県警は加藤さんを『所属長注意』としただけでした」(同前)

 県警本部に確認すると、

「頂いたご質問にはお答えできません」

 前出の県警関係者が語る。

「問題のある人物にもかかわらず、県警は彼を放置し続けてきた。その結果、今回の事件が起きてしまったと思えてなりません」

“一片の悔いなし”とは、とても言えまい。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年11月4日号

https://news.yahoo.co.jp/articles/8d13109a07cdcacf5e1e01485fef327be8c1060b