11/4(木) 8:46
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Web東奥

 新型コロナウイルスの影響で、青森県内のひとり親家庭の暮らしが厳しさを増している。仕事を失ったり、出勤日が減少したりする事例が続いている。当事者や支援団体は「ひとり親家庭はコロナ前から生活が苦しい」と話し、国により実効性ある政策を求める。

 「スイミングを習いたい」。そう言いだす娘に、小川愛さん(30)=仮名、津軽地方在住=は「もう少し我慢しよう」と言うしかなかった。家計が苦しく、習い事の月謝を出す余裕はなかった。

 小川さんは昨年、離婚。小学2年の里奈さん(7)=仮名=を引き取り、アパートで2人で暮らす。コールセンターでパートとして週5日働いていたが、会社の都合で週2日勤務に。収入は月10万円から3万円に減った。仕事の掛け持ちも考えたが、うつ病による体調不良のため踏み切れないでいる。小川さんは8月、会社でコロナに感染し、しばらく仕事を休んだ。里奈さんも感染した。生命保険の給付金を生活費に充て、なんとか生活をしのいでいる。

 里奈さんは5歳児健診で発達障害と判定され、薬を飲んでいる。障害児がいる家庭に支給される国の「特別児童扶養手当」を申請したが、承認されなかった。「(ひとり親世帯を対象にした)児童扶養手当は、すぐになくなる」とため息をつく。生活困窮者のための貸付制度「総合支援資金」の返済などもあり、今後の見通しは暗い。

 弘前市の一般社団法人「みらいねっと弘前」が、フードバンク事業を通して食料を提供してくれたり、学習支援をしてくれるのが救いとなっている。

 今回の衆院選で候補者の一人は、ひとり親家庭などつらい立場にある人に、今まで以上に手を差し伸べる−と言っていた。小川さんは「言葉だけでなくぜひ実現してほしい。経済的な理由で子どもの将来が制限されないように願う」と言葉を強めた。

 みらいねっとの鹿内葵代表理事は「ひとり親家庭の貧困は見えづらいが、確実に存在する」と説明する。

https://news.yahoo.co.jp/articles/737722a473b5536f026a5d5fc5d78929bfb9335e