4年ぶりの政権選択の機会となった衆議院選挙。政権交代を目指した立憲民主党は、敗北した。
党を結成し、率いてきた“オーナー”が引責辞任に追い込まれる事態となった。
針路を見失い、漂流の危機にあるようにも見える。
いったい、どうなってしまうのか。
(佐久間慶介)

まさかの敗北
「議席を減らすなんて、夢にも思わなかった」


衆議院選挙での敗北直後にそう漏らしたのは、立憲民主党幹事長の福山哲郎だ。
こうした感想は、議員だけに限らない。
かくいう党代表・枝野幸男の番記者の私も予想しにくい結果だった。


立憲民主党は、2020年9月の野党合流を経て衆議院の所属議員は100人を超え、2009年に当時の民主党が政権交代を果たす前の勢力に匹敵する規模となった。

その後、1年余りで着実に党の基盤を固め、今回の衆議院選挙では、衆議院定数の過半数を超える240人を擁立し、政権交代を目指した。

一方の与党は、新型コロナ対応などをめぐって批判を浴び、決して盤石とは言えない情勢で、野党内には立憲民主党が議席を増やすという見方が大勢だった。
しかし、立憲民主党の議席は、選挙前の109に届かず、96にとどまった。
選挙対策委員長の平野博文や元副代表の辻元清美など、党の中核メンバーも落選。
まさかの結果だった。

立憲民主党の幹部は、口々にこう語った。

「岸田政権発足直後の“ご祝儀相場”下での選挙とはいえ、まさか減らすとは」
「最悪でも、せめて選挙前より増えると踏んでいた」

揺れた“オーナー”
大きな打撃を受けた立憲民主党。

開票日の夜。大勢が判明すると、党幹部から次々と厳しい声が上がった。

「これはまずい。代表は辞めざるを得ないだろう」
「惨敗だ。執行部が誰も責任をとらないなんてありえない」

一方では、こんな声もあった。

「枝野氏が、ここまで党を作り上げ、党勢を拡大させてきた。その経緯や功績を考えれば、辞めるべきではない」

敗北にも、かばう声。
それは、立憲民主党が、いわば“枝野の党”とも言えるからだ。

-中略-

再建への道のりは

政権選択選挙でのまさかの敗北で“枝野一強”が崩壊し、混沌とする立憲民主党。
野党各党の力の均衡も、これまでとは全く違う状況になっている。
こうした中、党を立て直し、再び政権交代を目指せる状況を作り出せるのか。それとも勢力が衰退し、また離合集散の歴史が繰り返されてしまうのか。
その岐路に立っているといっても大袈裟ではないかもしれない。
新しい代表のかじ取りはなかなか容易ではなさそうだ。

http://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/71577.html