米ニューヨーク・タイムズ紙は13日、米軍が2019年に過激派組織「イスラム国」(IS)に対する軍事作戦をシリアで展開中に、女性や子供を含む約80人を空爆で殺害したにもかかわらず、軍内部で十分な調査を行わずに隠ぺいしていたと報じた。

 同紙によると、同年3月にシリア東部のイラク国境に近いバグズ周辺で、川辺にいた女性や子供を含む集団を米軍の無人機がとらえ、米軍の戦闘機が警告なしに空爆をしたという。当時の状況を無人機で監視をしていた分析官が「誰がやった?」「たったいま女性や子供50人を空爆した」などとやりとりしていた記録があったという。

 米軍内では戦争犯罪にあたる恐れがあるとして調査を求める意見が出たが、被害の過小評価や報告の遅れなどが繰り返され、十分な調査がされなかった。この空爆による民間人被害は軍の最上層部には報告されず、対外的にも公表されなかった。

 同紙によると、米中央軍は空爆の事実を認めたが「正当なものだ」と回答。16人が戦闘員で4人が民間人であることは判明したが、残りの60人は不明だという。(ワシントン=大島隆)

朝日新聞 2021/11/14 22:51
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