工作機器メーカー「ソディック」(横浜市)の松本営業所(長野県松本市)に勤めていた大泉共とも生おさん=当時(43)=が2017年4月下旬に自殺し、松本労働基準監督署が、長時間労働などに伴って発症したうつ病が原因として、労災認定していたことが分かった。遺族と代理人弁護士が22日にインターネットで会見した。認定は20年1月31日付。
◆過労死ラインを半年で4回超過
 代理人の岩城穣弁護士らによると、大泉さんは1995年に入社。海外勤務などを経て2012年に松本営業所に配属され、サービスマンとして、顧客に納入した機械の修理などメンテナンス業務を担っていた。
 16年5月に通常2人で行う業務を1人で担当するようになり、長時間労働が恒常化。発症前の半年で、月残業時間が過労死ラインの基準とされる「80時間」を超す月が4回あり、1カ月前は123時間を超えていた。松本労基署は、大泉さんが自殺直前の17年4月上旬にうつ病を発症していたと認定した。
 自殺5日前の社内の会議では、実際にやっていない不正を上司から繰り返し詰問されており、労基署の調査では、専門部会から「自殺の誘因の1つとなった可能性が高い」とする意見が添えられた。
 大泉さんは4月26日に長女愛菜えなさん=当時7つ=と失踪。2人は5月7日に山形県小国町の林道に止めてあった乗用車で遺体で見つかった。車内に練炭の燃えかすがあり、無理心中を図ったとみられる。
◆人事部「直接対面して謝罪する予定はない」
 今年7月に会社が遺族に解決金を支払うことで和解が成立したが、遺族への直接の謝罪はないという。ソディック人事部は取材に「和解書で本人や遺族へ謝罪した。今のところ遺族に直接対面して謝罪する予定はない」と説明。22日に会社サイトで「ご遺族の皆さまには心よりおわび申し上げます。再発防止対策を検討・実施します」とのコメントを載せた。
 共生さんは妻(48)と愛菜さん、次女(9)の4人で長野県松本市で暮らし、優しく家族思いだったという。長時間労働などで発症したうつ病が原因で命を絶ったが、いまだ会社から直接の謝罪はない。妻は「1人の人が亡くなることがどういうことか分かってほしい。私にはあの人しかいなかった」と声を詰まらせた。
 自殺する5日前、共生さんは営業所内の会議で、上司から取引先への訪問記録を捏造していると疑いを掛けられた。社宅では「つるし上げだったよ」と漏らした。疑いは晴れたが食欲がなくなり、大好きだったスマートフォンのゲームもしなくなった。出身地で持ち家がある「仙台(市)に帰りたい」とうわ言のように繰り返した。
◆妻「生き返らせたい。毎日がつらい」
 自殺を図った車内から見つかった遺書のメモには「ごめんなさい つかれちゃった 仙台に戻りたかった」と書かれていた。愛菜さんのメモも見つかり「かあちゃんへ とうちゃんとえなは さきにせんだいにかえてるから こんどあいにきてね!」とあった。
 共生さんは結婚してから娘2人ができたことを喜び「いつのまにか家族4人になっているね」と、しみじみと語っていたという。休日には娘たちと遊び、得意料理のスパゲティやピザを振る舞うこともあった。
 警察から連絡を受けた妻は遺体と対面し、「生き返らせたい」と考えたという。「毎日がつらい。この苦しみは死ぬまで続くと思っている」と声を絞り出した。(右田誠弥)

東京新聞 2021年11月24日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/144423
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