乗り物ニュース 12/1(水) 14:27

約半年ぶりに実施された協議

 建設が進められている西九州新幹線のうち、未着工の新鳥栖〜武雄温泉間について2021年11月22日(月)、佐賀県の地域交流部長や国土交通省の鉄道局幹線鉄道課長らによる「幅広い協議」の第5回目を実施。そこでは、前回の協議で「宿題」となっていた懸案についての進展がみられました。

 5月31日に実施された第4回目の「幅広い協議」では、地元である佐賀県側から3つの懸案事項が提示されました。

 1つ目は、佐賀県内の走行ルートについて3案すべてをふまえた比較検討を行うこと。2つ目は、新幹線開通後の在来線の今後について。3つ目は、フリーゲージトレインの整備を国が断念していることに対し、最高速度を270km/hから200km/hに下げれば実現可能かどうかの検証を行うこと、以上の3点です。

 佐賀県は「新幹線による短縮効果がほとんどない」とのスタンスで、さらに在来線特急の廃止など利便性の低下に危機感を抱いているといいます。

 県はスーパー特急(在来線の高速化)、フリーゲージトレインによる在来線走行、対面乗換方式により「佐賀県内を新幹線以外の方式にする場合」なら合意するとしていますが、国の「新幹線ありき」で話を進めている状況に不信感を隠していません。そこで「きちんと議論ができるための資料を用意してくれ」と県が求め、国が持ち帰ったのが先述の「宿題」でした。

「宿題」を提出した国交省、県の「採点」は?

 まず佐賀県内のフル規格新幹線のルート案の比較について、3案の比較検討結果が提示されました。3ルートとは、新鳥栖から分岐する「佐賀駅を通るルート」「佐賀市北部を通るルート」と、筑後船小屋から分岐する「佐賀空港を経由するルート」です。

 整備延長はいずれも約50kmと差がありませんが、建設費は佐賀駅ルートで約6200億円に対し、空港経由ルートは約1兆1300億円。さらに新幹線整備による収支改善効果も前者が年間約86億円に対し、後者はほぼ皆無。評価結果として、佐賀駅ルートがベストと結論付けられています。

 新幹線開通後の在来線については、役割が新幹線に移行すると国は明言。フル規格新幹線の開通後は、在来線特急は廃止の方向で考えていると明らかにしました。
 
 ルート選定資料については数値根拠を確認するやり取りにとどまったものの、議論はやはり前提となる、そもそもフル規格新幹線ありきで話を進めるのはどうなのか、というトピックが中心に。

※続きはリンク先で
https://news.yahoo.co.jp/articles/9802c8aa9b472707111bcda149ae920f60d6f6e0
西九州新幹線に導入されるN700S(画像:JR九州)。
https://i.imgur.com/8U704RG.jpg
西九州新幹線の佐賀県内の3ルート案(画像:国土交通省)。
https://i.imgur.com/b3Mk482.jpg