タリバン、投降したアフガン治安要員47人処刑か 欧米や日本が非難
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2021年12月5日 17:04 
発信地:ワシントンD.C./米国 [ 米国 北米 ]

【12月5日 AFP】アフガニスタンの実権を掌握したイスラム主義組織タリバン(Taliban)が投降した前政権の治安要員を「即決処刑」したとの人権団体の報告を受け、米国務省は4日、日本など西側各国とタリバンを非難する声明を出し、早急な調査を求めた。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は今週初め、アフガン全土がタリバンに制圧された8月半ばから10月までに「タリバン部隊に投降したか拘束された」アフガン国家治安部隊(ANSF)の隊員ら47人が即決処刑されたか、強制失踪の状態にあるとの報告書を発表した。47人には軍人や警察官、情報機関員らが含まれるという。

米国務省は声明で「HRWなどから報告のあったアフガン治安部隊の元要員の即決処刑や強制失踪について、われわれは深い懸念を表明する」と述べ、「深刻な人権侵害であり、タリバンが宣言した恩赦と矛盾する」と指摘。タリバンに「全国の全部隊で」恩赦が確実に実行されるよう求めた。

 声明は「報告された事例を早急に、透明性のある方法で調査すべきであり、関与した者は責任を負わなければならない。こうした措置はさらなる殺害や失踪に対する即効性のある抑止力として、明確に公表される必要がある」と主張し、「われわれは引き続き、タリバンをその行動で評価する」とした。

 共同声明には、米国、欧州連合(EU)、英国、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ルーマニア、ウクライナなどが名を連ねた。

 HRWの報告によると、タリバン指導部は投降した治安要員に対し、当局に登録して軍や特殊部隊などの所属・関係先について審査を受け、身の安全を保証する書類を受け取るよう指示した。これらの身元審査を利用して、登録から数日のうちに治安要員を拘束し、即決処刑や強制失踪を行っていたとされる。治安要員の遺体は、親族や近所の住民らが発見しやすいよう遺棄されていたという。(c)AFP