※NHKニュース

香港当局 政府に批判的な論調のネットメディア幹部2人を起訴
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211230/k10013410171000.html

2021年12月30日 20時43分

香港の当局は、政府に批判的な論調で知られたインターネットメディアの「立場新聞」の元幹部2人を憎悪をあおる出版物を発行したとして、30日、起訴しました。

起訴されたのは、香港政府に批判的な論調で知られ2年前に相次いだ抗議活動の記事などを数多く配信してきた、インターネットメディアの「立場新聞」の元編集長ら2人で、憎悪をあおる出版物を発行した罪に問われています。

当局は、2人が去年7月から今月までの間に、香港の政府や司法に対する憎悪をかきたて、市民の不満をあおる文章を繰り返し掲載したとしています。

香港の警察は29日、この2人とともに、歌手のデニス・ホー氏を含む「立場新聞」の元幹部5人を逮捕しましたが、地元メディアによりますと、このうちホー氏ら3人は保釈されたということです。

「立場新聞」のサイトでは29日夜遅くから記事を見ることができなくなり、現在は「民主や自由といった香港の核心的な価値を守るためにこれまで力を尽くしてきた」といった文章とともに、読者への感謝のことばが掲載されています。

香港記者協会は声明を出し「香港の憲法にあたる基本法で認められた言論の自由にとって、極めて大きな打撃だ」などと批判しました。

一方、30日午前、記者会見した政府トップの林鄭月娥行政長官は「言論の自由は、制限なく認められるわけではない。政府に反対の立場のメディアの排除が目的ではない」と述べました。

中国外務省「社会の秩序を守るための正当な対応」

香港の当局の対応について、中国外務省の趙立堅報道官は30日の記者会見で「社会の秩序を守るための正当な対応だ。報道や言論の自由は犯罪行為の口実とはならない」と述べました。

また、今回の当局の対応をめぐりアメリカなどから批判が出ていることについて「一部の外国勢力が報道の自由を掲げて、香港の当局による法律の執行をあれこれと批判するのは善悪をわい曲したものだ」と反発しました。