2021年の携帯料金競争で話題を集めたのが、ドコモ、au、ソフトバンクのオンライン専用プランだった。ユーザー獲得ではKDDIのUQ mobileや、ソフトバンクのY!mobileが健闘した。楽天モバイルも料金を改定して、0円からの「Rakuten UN-LIMIT VI」で支持を集めた。

 サービス開始前からつばぜり合いが続いていたオンライン専用料金プランだが、ふたを開けてみると、ahamoが一人勝ちの様相を呈していた。事前エントリーは250万を突破。契約者数も8月には180万、11月には200万を超えている。ドコモ内の料金プラン変更が相次いだ他、他社からの流入も増えたことがユーザー数急増の理由。MNPで負け続けていたドコモが、ahamoの導入で他社に一矢報いた格好だ。

 一方で、KDDIのpovoやソフトバンクのLINEMOは、導入から間もないタイミングで相次いでサービスを改定した。最初に動いたのは、ソフトバンクのLINEMO。同社は、よりデータ使用量の少ないユーザーにターゲットを合わせ、3GBで990円の「ミニプラン」を7月に導入した。KDDIはpovoをpovo2.0に全面的に改訂。基本料を0円にしつつ、トッピングでデータ容量をある程度自由に変更できる仕組みを導入した。povoはリニューアルで勢いを増し、10月には100万契約を突破している。

■0円プランで先行した楽天モバイル、2社のサブブランドも順調に拡大

 オンライン専用プランの影響を受けたのは、大手3キャリアだけではない。2020年4月に本格参入したばかりの楽天モバイルも、その1社だ。同社は4月にデータ通信が使い放題の「UN-LIMIT V」を改定。0円から3278円の間で料金が変動する、段階制のUN-LIMIT VIを導入した。段階制の料金プラン自体は大手3キャリアも導入しているが、楽天モバイルのそれは、1GB以下が無料になるのが最大の特徴。0円のままでも楽天市場での還元率が1%上がるため、ポイント目当てで契約することも可能になった。

 とはいえ、UN-LIMIT VIの導入で楽天モバイルの契約者獲得に弾みがついたことも事実だ。3月には285万契約だった楽天モバイルのユーザー数は6月に366万を突破。9月には411万にまで拡大している。1年無料キャンペーンの駆け込み需要はあったものの、半年間で100万契約以上を上乗せできたのは、UN-LIMIT VIの成果といえる。結果として、大手3キャリアはもちろん、MVNOから楽天モバイルに移るユーザーも増えている。

 先に挙げたKDDIのpovo2.0も、楽天モバイル対抗で導入されたサービスの1つだ。同社の高橋誠社長はpovo2.0の基本料が0円になったのは、楽天モバイルへの流出を止めるためだったと明かした。povo2.0はUN-LIMIT VIとは異なり、0円のままだと128kbpsでしか通信できないが、提携した店舗での購入特典としてデータ容量をもらえる「#ギガ活」を組み合わせれば、無料で利用することができる。このリニューアルで楽天モバイルへの流出が収まり、povo全体の契約者数は100万を突破した。

 ahamoが先鞭(せんべん)をつけた料金値下げ競争だったが、KDDIやソフトバンクの場合、むしろ好調だったのはUQ mobileやY!mobileといったサブブランドだった。両ブランドとも、2月に新料金プランを導入。UQ mobileは6月に「でんきセット割」を、9月に固定回線を対象に加えた「自宅セット割」を開始した。割引を適用した際の3GBプランの料金は990円で、オンライン専用プランと比べてもそん色のない安さになった。

 先行するY!mobileは700万契約、UQ mobileは5月時点で300万契約を突破するなど、両ブランドとも順調に拡大している。コンセプトの新しさから話題になりがちなオンライン専用プランだが、スマートフォンに慣れているユーザーですら、つまずくポイントは少なくない。端末を故障、紛失した際のサポート体制などにも不安が残る。店舗を構えるUQ mobileやY!mobileが、こうした点を重視するユーザーの受け皿になっているといえそうだ。

2021年12月31日 06時00分 公開

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