1/13(木) 17:00

 昨年の衆院選で、玉木雄一郎代表率いる国民民主党は提案型野党として、批判対決型の野党第一党・立憲民主党との違いをアピールし、8議席から3議席増やして11議席と健闘した。ただ、「ブーム」や「旋風」といった力強いものではなかった。今後、存在感や支持率をいかに上げていくかが課題である。

小選挙区中心の選挙制度では、国民民主党のような中間政党は二大政党の争いに埋没しがちだ。同党は衆院選後、立憲民主党と共産党、社民党のいわゆる「野党国対」から離脱し、憲法改正や、安全保障法制を支持する日本維新の会と歩調を合わせている。

玉木氏は、故大平正芳元首相の遠戚にあたる。「尊敬する政治家」にも大平氏を挙げ、自らを「保守政治家」と規定する。大平氏の孫、渡辺満子さんは、玉木氏を「祖父の精神を受け継ぐ者」と認め、応援している

東大法学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。内閣府に出向していたとき、自民党からの出馬を誘われ、当時の安倍晋三幹事長と面談した。ただ、出身地の香川2区(高松市、さぬき市など)には自民党の現職議員がいて、別の選挙区からの立候補を提案されたため断った。

初出馬は2005年の「郵政選挙」。志の通り、香川2区から出馬した。ただし、野党・民主党の公認候補として。

「親も自民党員だったので、民主党から出ることには反対も多かったが、日本にも切磋琢磨(せっさたくま)できる保守二大政党制が必要だと思った」(自身のホームページより)。

この時は落選したが、4年後の「政権交代選挙」に再挑戦して、初当選を果たした。保守政治家を自認しながらも、リベラル色が強い玉木氏の原点があるのだろう。

それにしても、国民民主党が掲げる「改革中道」は分かりにくい。「穏健保守からリベラルまでを包摂する」という意味のようだが、そうした幅広さが、むしろ国民へのアピール力を減じているように思える。

特に、安全保障や原発政策で、もっと玉木氏自身が目指す「保守」の観点を強く打ち出すべきではないか。

党の全体像も見えづらい。玉木氏の発言が党全体の意見なのか、個人的見解なのか不明確だ。メディア対応も、玉木氏に偏り過ぎている。大塚耕平代表代行、榛葉賀津也幹事長、古川元久国対委員長、岸本周平選対委員長ら、他の党役員をもっと活用した方がいい。

衆院選で、自民党は絶対安定多数を獲得したが、手放しで自民党政治が支持されているようには見えない。むしろ、有権者の不満は高まっているように思える。

こうしたなか、国民民主党が保守層に訴える政策を打ち出せば、多くの有権者が流れ込んでくる可能性はある。いずれにしても、7月の参院選が玉木氏の正念場となる。

ソース https://news.yahoo.co.jp/articles/37771ab4d7e9d81047e2d7f839659adb171dafe4