【ニューヨーク=宮本岳則】米金融大手ゴールドマン・サックスが18日発表した2021年12月期決算は、純利益が前の期比2.2倍の216億ドル(約2兆4800億円)となり、過去最高益を更新した。世界的なM&A(合併・買収)ブームが追い風となり、助言業務が伸びたほか、株式や債券の引受業務が好調だった。

ゴールドマンが最高益を更新するのは09年12月期以来、12年ぶりだ。08年のリーマン・ショック前はトレーディング部門が業績をけん引していたが、規制強化や低金利環境で稼ぎにくくなり、逆に足かせとなっていた。新型コロナウイルスのパンデミック(感染大流行)以降に株価や金利が大きく動いたことで、機関投資家の売買が増加し、同部門も息を吹き返した。

投資銀行部門の純営業収益(事業会社の売上高に相当)は148億ドルとなり、前の期比58%増となった。M&Aの大型案件で助言業務を獲得し、手数料収入が増えた。債券引受業務では買収ファンドの資金調達を支援する「レバレッジド・ファイナンス」が好調だった。

もっとも四半期業績の推移をみると、勢いに陰りがみえる。21年10〜12月期の純利益は前年同期に比べて13%減った。トレーディング部門の収益が前年の水準に届かなかった。機関投資家による高水準の売買が続いていたが、徐々に正常化に向かっている。ゴールドマンの株価は早朝の時間外取引で一時、4%安となった。

日本経済新聞 2022年1月18日 22:14 (2022年1月18日 23:02更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN18CLX0Y2A110C2000000/?n_cid=SNSTW005