南日本新聞社 1/19(水) 7:25

 南種子町漁協が島間港(同町島間)で育てているブリの稚魚が大量死していることが18日、分かった。いずれも体が擦り切れており、南太平洋・トンガ沖の海底火山噴火で生じた津波でいけすが揺さぶられ、魚同士や網との接触で傷ついたとみられる。同日までに7〜8万匹の死骸を回収した。

 島間港がある種子島西岸では、西之表港(西之表市)で16日未明に最大50センチの津波が観測されている。

 漁協職員が同日午前、津波の影響を調べるため、いけすを見回った際に約1万1000匹の死骸を発見。18日まで大量死が続いている。残る稚魚も傷ついて衰弱しているため、今後も増えるとみている。被害総額は約3000万円に上る見込み。鹿児島県と町も被害状況を確認した。

 大量死が見つかったいけすは、潮流が流れ込みやすい位置に設置されている4基。それぞれ5メートル四方の大きさで、昨年12月に仕入れた稚魚計10万匹を育てていた。いけすには、波で大きく揺さぶられないよう重さ25キロの砂袋が四つずつ提げられていたが、漁協は「津波が大潮の満潮と重なり、波の力が予想以上に強まった」と分析している。

 島間港では冬季も温暖な気候を生かし、2012年にブリ稚魚の中間育成施設が整備された。最大80基のいけすで年間50万匹を育てており、東町漁協(長島町)に出荷している。

 甲山博明組合長は、取材に「中間育成を始めて以来、魚が大量死するのは初めて。津波の影響がこんな形で出てくるとは残念だ」と話した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5a16fd707e3f96897b2cee6883d7712fb0f6be67
ブリの稚魚が泳ぎ回るいけす=2021年12月、南種子町島間
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