未接種者の死亡リスクは12.7倍!CDCがオミクロン株に対するブースター接種の有効性を確認、米疾病対策センター研究報告


米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン(以下、新型コロナワクチン)のブースター接種(3回目接種)により、
数百万人のオミクロン株感染者が全国の病院や救急外来、緊急診療所でケアを受けずに済んでいることが、政府主導の3件の研究で示された。

1件目の研究は、米疾病対策センター(CDC)のMark Thompson氏らが、「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」1月28日号に報告したもの。

同研究では、オミクロン株感染者が感染者全体の50%超を占めるようになる前と後の時期に分けて解析が行われた。

その結果、オミクロン株が優勢になって以降に米ファイザー社製または米モデルナ社製新型コロナワクチンのブースター接種を受けた場合の入院予防効果は90%、
救急外来や緊急診療所でケアを受けることに対する予防効果が82%であることが明らかになった。

2件目の研究は、CDCのAmelia Johnson氏らが、同じく「MMWR」1月28日号に報告したもの。

この研究では、米国でのデルタ株の出現前(2021年4〜5月)、デルタ株出現期(2021年6月)、デルタ株優勢期(2021年7〜11月)、
オミクロン株出現期(2021年12月)のそれぞれの時期における、新型コロナワクチン未接種者、2回目接種完了者、
ブースター接種完了者のCOVID-19の発症率、COVID-19による死亡率、および罹患率比(IRR)が推定された。

10月から11月時点での解析結果は、ワクチン未接種者の発症リスクはブースター接種完了者の13.9倍、死亡リスクは53.2倍であり、
2回目接種完了者の発症リスクはブースター接種完了者の4.0倍、死亡リスクは12.7倍というものだった。

また、ブースター接種の効果が最も高いのは、50歳以上の人であることも判明した。

3件目の研究は、CDCのEmma Accorsi氏らが、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に1月21日報告したもの。

この研究では、新型コロナワクチンのブースター接種とオミクロン株またはデルタ株による症候性COVID-19との関連が検討された。

その結果、ブースター接種完了者では、2回接種完了者またはワクチン未接種者に比べて、オミクロン株またはデルタ株による症候性COVID-19に対する予防効果が大きいことが明らかになった
(調整オッズ比は、オミクロン株で0.33と0.065、デルタ株で0.34と0.16)。

このような報告に対し、米イェール大学の免疫学者である岩崎明子氏は、「他国のデータからは、既にブースター接種の有意なベネフィットが示されていたが、
米国でも明らかにされつつある。この数字は非常に説得力がある」と話す。

また、米スクリプス研究所分子医学教授のEric Topol氏も、「これは喜ぶべき結果だ」と述べ、
「ワクチンの2回接種およびブースター接種は、オミクロン株に対する感染予防効果は十分ではないものの、重症化、入院および死亡の予防には不可欠である」と主張する。

しかし、CDCによれば、米国でブースター接種を受けた人は40%未満にとどまっている。

この3件の研究に先がけ、CDCは、高齢者のCOVID-19による入院リスクが、
2回目接種およびブースター接種完了者に比べてワクチン未接種者で大幅に高いことを示すデータを発表している。

12月には、50歳以上のワクチン未接種者の入院リスクは、2回接種済みでブースター未接種者の18倍であった。

また、ブースター接種者との比較では、未接種者の入院リスクは50〜64歳で46倍、65歳以上で52倍に上った。
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