読売新聞 2022/02/17 11:02

 特殊詐欺グループの指示を受け、キャッシュカードを盗むために被害者の高齢者宅近くに行ったものの、犯行を断念した被告に窃盗未遂罪が成立するかどうかが争われた刑事裁判で、最高裁第3小法廷(戸倉三郎裁判長)は「成立する」との判断を示し、被告の上告を棄却した。別の窃盗罪と合わせて懲役4年8月を言い渡した1審・山形地裁判決と2審・仙台高裁判決が確定する。

最高裁判所
 14日付の決定などによると、グループの「受け子」だった男(25)は2019年6月、キャッシュカードを封筒の中に入れさせて盗むという計画に基づき、金融庁職員を装って山形県内の高齢者宅に向かったが、約140メートルまで近づいたところで警察官の尾行に気づき、断念した。

 被告側は「カードを盗む具体的な行動をしていない」として、この事件については上告審で無罪を主張した。

 しかし、同小法廷は、グループの共犯者が事前に高齢者宅に電話をかけ、「詐欺に遭っている可能性があるので、金融庁の職員が持って行く封筒にカードを入れて」とうそをついていたことを重視。被告が高齢者宅近くに赴いた時点でカードが盗まれる危険性が生じたとして、「窃盗行為の着手があったと認められる」と結論付けた。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220217-OYT1T50146/