2/18(金) 6:00配信

日経クロストレンド

 埼玉に県民から愛されているソウルフードがある。創業1964年の中華料理チェーンの「ぎょうざの満洲」だ。売れ筋トップ3は、焼きギョーザ、チャーハン、そしてラーメン。一度食べればファンになり、通い続ける人が後を絶たない。その人気の中華料理店が掲げる最重要項目が意外にも“健康”。達成のため、裏では並々ならぬ努力を重ねている。なぜ健康なのか。

【関連画像】人気商品の「生ぎょうざ」(12個入り)と「業務用生餃子」(60個入り)

 ぎょうざの満洲は、埼玉県内に49店舗を展開し、東京西部35店舗、神奈川1店舗、群馬5店舗、大阪9店舗、兵庫2店舗の計101店舗を出店している(2021年12月現在)。店名にも入る一番人気の焼きギョーザは、県外にもファンが多く、一度食べれば思わずリピートしてしまう看板商品だ。

 ギョーザは、埼玉県内にある川越工場と坂戸工場、大阪にある江坂工場のセントラルキッチンで作られ、自社の配送便で各店舗に配送される。店舗が埼玉県内に多く、東京でも西部に偏っているのは、「工場からの距離が関係している」と池野谷ひろみ社長は明かす。
「ギョーザは製造したその日が賞味期限。工場から店舗には生ギョーザの状態で運ばれ、デリケートなもちもちの柔らかい皮で包んでいるため、時間経過とともに、皮同士がくっついたりする問題も出てくる。だから、配送は時間との勝負。工場から1時間以内で配送できる場所が出店する際のルールになっている」

 そうして、届けられた作りたての生ギョーザを焼いて提供する。だから、もちもちして食通をもうならせる。加えて、このギョーザには“鮮度”に関して、もう一つの秘訣がある。自社農場で作っているキャベツだ。工場から車で10分程度の目と鼻の先に、東京ドーム2個分の広大な畑を持ち、キャベツを中心に栽培。
夏以外の季節はこの畑で取れるキャベツをギョーザの具材に使っているのだ。取れたての鮮度抜群のキャベツを使うから、シャキシャキで甘みが強い。これがギョーザのおいしさを、より一層引き立てている。

 さらに、同店のギョーザを語る上で、欠かせない重要なポイントがあと一つある。それが、18年に豚肉の脂身を3割減らし、逆に赤身を3割増やした餡を新たに採用し、長年作ってきたギョーザを刷新したことだ。こうして赤身を増やしたことにこそ、同社の、そして池野谷社長の信念が込められている。一体どういうことか。


●ギョーザの餡に赤身肉が多い真の理由

 その答えを見つけるためには、時代を20年ほど遡る必要がある。1998年に父で創業者の金子梅吉氏(現会長)から社長の座を受け継ぎ、しばらくたった頃、40代になった池野谷社長に、健康診断で思わぬ結果が待っていた。
それまで何の問題もなく“健康優良児”を自認してきたが、血圧が高く出てしまったのだ。その傾向は数年間続いた。ちょうど機を同じくして、父が高血圧が原因と思われる病で倒れた。

 医師に食生活を問われた。味を確認するために、昼は毎日自社のラーメンとギョーザを食べていると話した。自分だけでなく、従業員も同じだ。
医師からは、「週1、2回ならいいが、毎日食べるのは考え直した方がいい」と言われた。多量の豚の脂分は食べ過ぎると血管を詰まらせる原因になる可能性があるということだった。

 「『えっ』と衝撃を受けた。自分が関わっている商売で『たくさん食べたら健康を害する』なんて、考えたくもなかった。けれども、その可能性が現実としてある。
当社の理念は、『おいしい餃子で人々を健康で幸せに』で、これは私が社長になってから掲げたこと。おいしいだけでなく、もっと本当の意味で健康を突き詰めなければと、その時、心に固く誓った」(池野谷社長)

      ===== 後略 =====
全文は下記URLで
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最終更新:2/18(金) 6:00
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