17日の投資家向け説明会に登壇した米インテルのパット・ゲルシンガーCEO(米インテル提供)
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 半導体大手の米インテルによるイスラエル半導体受託製造(ファウンドリー)のタワーセミコンダクター買収は日本市場の存在が決め手となった可能性がある。2021年に参入したファウンドリー事業でライバルの台湾積体電路製造(TSMC)に対抗する。イスラエル社は日本に複数の工場を持っており、21年に日本への工場進出を決めたTSMCに自動車大国を“独り占め”させない狙いが見え隠れする。

 「インテルが日本国内で半導体工場を探して買おうとしている」―。21年後半に業界内の一部でそんなうわさが駆け巡っていた。結局、うわさはうわさのままで終わったものの、一定の真実味を帯びていた。

 ファウンドリー事業に参入したインテルとして、半導体需要の集中するアジア地域での生産能力拡充は優先課題だ。そこで最大市場でもある中国・成都で前工程工場建設を検討したが、経済安全保障上の懸念から米国政府に強く反対されて頓挫したと言われる。

 その間に、ライバルのTSMCはソニーグループと組んで熊本県に工場を新設することを21年11月に正式決定した。ソニーGを除く主な製品供給先はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)で需要が急速に伸びる自動車産業だ。その後、2月にトヨタ自動車グループのデンソーも参画し、日本の大口需要家がそろった格好だ。

 インテルはアジアでファウンドリー事業を拡大したいが、バイデン政権の顔色をうかがうと中国市場は難しく、韓国はサムスン電子、台湾はTSMCの牙城だ。自動車や電機、産業機械メーカーが多く、世界3位の経済大国の日本は絶対に譲れない市場となる。

 インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は「タワーの特別な技術ポートフォリオ、地理的広がり、顧客との深い関係、そしてサービスファーストの運用はインテルのファウンドリーサービスを拡大し、世界的に半導体製造能力の主要プロバイダーになるとの目標を前進させるのに役立つ」と54億ドル(約6200億円)買収の意義を語った。

 タワーセミコンダクターは14年にパナソニックの半導体工場を買い取り、現在、合弁会社を通じて富山県魚津市など北陸地区に回路線幅45ナノメートル(ナノは10億分の1)製品などを手がける3工場を保有。1年後をめどにインテル傘下となれば、TSMCに負けじとさらなる微細化と増産投資が見込まれる。地域経済への大きな波及効果も期待できそうだ。

2/25(金) 16:10配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/c8872092b0956c2ec1b4f8201fa6bebba9538692