キエフ郊外の街道に接する一軒家。そこがIT会社勤務、ユーリア・クリメンコさん(34)の自宅だ。夜間は戦闘が激しく、爆発音で4、5回は目が覚める。長男(8)が泣き出すことにも慣れてきた。ユーリアさんはゆっくりと語りかける。

「サイレンが鳴ったら、あわてず地下のシェルターに逃げるのよ」

■続く銃撃戦、決死の買いだし

キエフの学校で日本語を専攻、14年前に京都の大学に1年間留学した。「心に留めておく貴重な1年だった」とユーリアさん。大好きな日本が対露制裁に加わり、母国を支援してくれたことが「とてもうれしい」と語る。

2月24日にロシア軍の侵攻が始まり、「日常」は一変。キエフでは民間人の外出禁止令が出され、長男の学校も休校となった。

以降、砲弾の爆発音と銃声があちこちから聞こえ、市当局からは絶えず注意を呼びかけるメッセージがスマートフォンに届く。

周辺の3割くらいの住民がキエフから逃れたが、ユーリアさん一家はここに残ると決めた。戦時下において、夫(37)と60代の両親、長男を含めた5人家族の生活を維持するのに今は必死だ。

ジャガイモ、砂糖、小麦粉、ひまわり油などは2週間分をストックしているが、バターや牛乳、肉と野菜が足りない。休業していたスーパーマーケットは停戦交渉の開始に伴い、一部で再開。店頭に野菜はないが、物資を求める市民の長蛇の列ができていた。銃撃戦は続いているが、食料品の買いだしには行かざるを得ない。

ガスや電気、水道などライフラインはまだ維持されているが、簡単なジャガイモ料理、パスタやかゆしか作れない。それでも「砲撃の恐ろしさと比べると、粗食は問題ではない」と、流暢(りゅうちょう)な日本語のメッセージで答えた。

■「日常」求め、シェルターで仕事

命を脅かされつつも、ユーリアさんは「日常」を送ろうと奮闘している。仕事はITのテクニカルサポートで、顧客は国外。会社からは今は働かなくていいと言われているが、「無駄に家にいるのはいや」と、シェルターにパソコンを持ち込み、業務を続ける。

国民総動員令のもと、いずれ夫も軍に動員される。少しでも力になろうと、火炎瓶作りや献血にも協力している。

激しい砲撃におびえる息子に、根拠がなくても「大丈夫よ」となだめるしかない。「私は死を恐れていないが、息子には自由な国で生きていってほしい」と苦しい胸の内を明かす。

「どうしてロシアは自分たちを攻撃するの」。息子はそう嘆き、「戦争の止め方」を、グーグルで検索していたという。

https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/ef733c21ea3e947c369446900e555607d9adace9&preview=auto

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