まず一つ目、日本が抑止力として核を持つというとき、想定している相手は中国、ロシア、北朝鮮だ。もしも中露に対して抑止力になり得る核は対中で1000発以上、対露で5000発以上、対北で100発以上。日本の国力からして対露対中はとうていその規模の保有は無理だ。対北なら可能だが、北朝鮮を抑止するためだけに核武装するのはコストに見合わない。通常兵器の充実で十分。

二つ目、共有は日米の意思の一致が必要になるが、米の敵と日本の敵は完全には一致しないし、重なる国でも、日米間で重要度や戦略的重要性は同じではない。たとえば米中には領土をめぐる対立はない。歴史的関係も異なる。韓国北朝鮮についてもロシアについても日米間には敵性の重要度や意味や損得基準は大きく異なる。「共有」の状態で核が日本にとっての抑止力にはならない。

共有であっても核武装には違いないから核攻撃を受けやすくなる。半端な武器は相手の暴力の口実になってかえって危険。


日米同盟の下で米国の核の傘を信頼する方が合理的。「共有」には意味がない。