かつて2度の政権交代の立役者となり「剛腕」と呼ばれた男の姿がみえない。
夏の参院選へいまだ展望が開けない立憲民主党のなかにあって、沈黙を続ける小沢一郎氏(79)のいまを探った。

 2月27日、東京都内のホテルで立憲の党大会が開かれ、120人超の国会議員が出席したが、小沢氏の姿はなかった。
党大会は、政党にとって年1回の最重要行事の一つ。党の結束や方針を確認する場で、参院選を控える今年の重要性はいうまでもないが、小沢氏は「大して中身がない」と語っていた。

 「朝から晩まで、政権交代をがんばらなきゃと考えている」といまも講演で熱弁を振るう小沢氏が、参院選に無関心のはずがない。
昨年の衆院選敗北後、泉健太代表(47)の誕生に向けて代表選で支援に回ったのも、参院選をみすえてのことだ。

 「最後まで電話をかけまくれ」。昨秋の代表選前夜、泉氏の陣営が拠点とした都内のホテルで、小沢氏がそうげきを飛ばし続ける姿があった。
泉氏からの支援要請を受けて、勝利に一役買ったと自負している。

 新代表就任を決めた壇上でのあいさつで、泉氏が「小沢先生は(私と同じ)47歳のとき、自民党の幹事長をされていた」とわざわざ言及するのを聞きながら、
小沢氏周辺は「党運営を一緒にやろうとのメッセージ」と受け取った。新執行部で参院選を取り仕切る姿を思い描き、
小沢氏は「参院選をちゃんとやらないと、代表を辞めなきゃならなくなる。枝野くんの二の舞いになるぞ」と泉氏に直接念押しもした。

 しかし、そうした期待は裏切られることになる。

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