シンクロダンスで獲物を狩るクモ、同期して動く理由を解明
まるで「だるまさんがころんだ」、南米の珍しい社会性クモ

2022.03.10

 南米、フランス領ギアナの熱帯雨林に、何メートルにもわたって広がる巨大なクモの巣がある。巣の中では、体長が1センチにも満たない小さなクモたちが何千匹も集まって、獲物を待ち受けている。(参考記事:「800メートルの巨大クモの巣見つかる、米国」)

 クモが集団生活を送ること自体が非常に珍しいが、このクモはさらに珍しい行動を取る。獲物が巣にかかると、まるで「だるまさんがころんだ」をしている時のように、いっせいに動く、止まるを繰り返しながら獲物に近づいていくのだ。

 3月7日付けの学術誌「米科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された論文によると、このクモは自分たちの動きを同期させた場合に、最も効率的に獲物を捕らえられるという。

 シンクロダンスで狩りをするこの珍しいクモは、ヒメグモの一種アネロシムス・エクシミウス(Anelosimus eximius)。いわゆる「社会性クモ」であり、大きなコロニーで協力して生活している。これはクモとしては非常に珍しいライフスタイルだ。

 集団になったクモたちは、「最大で自身の700倍もの重さがある獲物を捕らえることができます」と、今回の論文の著者で、仏トゥールーズにある統合生物学センターの動物行動学者ラファエル・ジャンソン氏は語る。

 クモが嫌いな人はゾッとするかもしれないが、心配はいらない。このクモはテントウムシよりも小さく、集団で狩りをするときでも、人間にはまったく危害を加えない。

 むしろわれわれ人類は、このクモから、共に利益を得るために力を合わせるという教訓を得られる可能性がある。

 言うまでもなく、クモは本当にダンスをしているわけではない。クモたちが動きをシンクロさせる目的は、獲物の振動と、狩りに向かう仲間たちが出す振動を「聞き分ける(感じ分ける)」ためだ。もし個々のクモたちがバラバラのリズムで動けば、
邪魔な音が増えて、獲物の振動を感じ取ることができない。そこで彼らは、自分たちの動きをシンクロさせて、獲物の動きを感知しやすくしているのだ。(参考記事:「【動画】求愛ダンス踊るクモの新種が7種見つかる」)

 この戦略にはリスクが伴う。動きを合わせている間に、仲間のクモたちが先に獲物に到達してしまう可能性があるからだ。しかし、研究チームによると、同期することによって得られる報酬(獲物の場所を正確に突き止められること)は、そうしたリスクを相殺し、協力して獲物を分かち合うことを促すという。



なぜシンクロダンスを踊るのか
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/030900108/?ST=m_news
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