※2022/03/16 05:30

 1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、当時小学3年で腹部を刺され、重傷を負った女性が神戸新聞の取材に現在の心境を語った。襲われてから16日で丸25年。9歳だった命を救ってくれた看護師の職に憧れて将来の道を決め、現在は新型コロナウイルス感染症病棟などで患者のために奔走する。友人にも同僚にも当時のことは話したことはない。けれど、風化はしてほしくない。あの日が近づくたび、気持ちが揺れる。
 事件は97年3月16日に発生。友人と遊ぶため、自宅近くの公園に向かう途中だった。前から歩いてきた男と肩がぶつかった。直後、目の前が真っ白になり、おなかを触って初めて刺されたと気付いた。小走りで逃げる男の顔を見た。大人ではなさそうだった。

 ナイフは胃を貫通し、深さ8センチにも達していた。現場を通りがかった看護師が傷口をふさぐなどして応急処置。神戸市内の病院の集中治療室(ICU)に搬送され、数時間の手術の末、一命を取りとめた。

 病院で出会った看護師さんの優しさも、女性のこわばった心をほぐしてくれた。「助けてくれてありがとうって伝えたい」。自身も経験を積み、看護師の力量が分かるようになったからこそ、感謝の思いを強くする。

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 事件当時、14歳で逮捕された「少年A」の両親とは、約10年前に1度だけ会った。Aの両親は女性の顔を見るなり、土下座したという。当時から既にAは行方不明だった。「謝るのは(加害者のA)本人じゃないの?」と強烈な違和感を覚えた。

 Aは、どんな生活を送っているのか。更生しているのか。判断する材料が欲しかったが、両親は「知りません」と答えるばかり。何一つ、納得できる言葉は返ってこなかった。

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https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202203/sp/0015137675.shtml