17日行われた静岡県熱海市議会の調査特別委員会(百条委員会)での参考人招致では、昨年の大規模土石流災害で問題となった盛り土とは別にこの付近で行われていた、伊豆山地区でのずさんな開発行為の一端も明らかになった。

証言したのは、盛り土造成地の旧所有者だった不動産管理会社(神奈川県小田原市、清算済み)の元社員。平成13〜14年、この会社に勤務し、盛り土付近の宅地開発に向けて擁壁工事に関与していた。

証言によると当時、搬入する土砂などの過積載で事故を起こしたダンプカーが使用不能に。これを廃棄するため、開発地付近に大きな穴を掘り、車両ごと埋めている様子を目撃した。その後、周辺住民から通報があり、近くに別の穴を掘って埋め直したという。

深さ2〜3メートル、長さ4メートル、幅2メートルほどの「巨大な穴」(元社員)は周辺に複数あり、「工事で出る廃材などを捨てるための穴。そこに捨てちゃえというごみ箱≠つくった」とも明かした。

3日の百条委で参考人となった住民が、19年に盛り土周辺で「履いていた長靴が溶けた」と有害物質などの産業廃棄物が埋められている可能性をにじませた証言に関し、元社員は「溶けるのは容易に想像できる」と認めた。

「土中に(ダンプカーの)ブレーキオイルやガソリン、有機溶剤などが埋められている」として、「水と油分の比重でガソリンなどが地表に浮き上がっていると考えられ、化学反応で溶けたのだろう」と推測してみせた。


ダンプカーを含め一連の不法投棄について、元社長が認識していたかを問われると「下請け業者が勝手にやったというのはあり得ない。実質的に工事内容を決めるのは元社長だった。ダンプカーを埋めるのも知っていただろう」と指摘。人柄について「トップダウンのワンマン経営。逆らえない印象だった」と述べた。

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