同じ大学の仲間の半分以上が性暴力を受けたことがあり、うち4割が誰にも相談できなかった−−。衝撃的なアンケート結果を受け、関西学院大(兵庫県西宮市)の学生3人が「性暴力防止ハンドブック」を作った。望まない性的行為の断り方や互いの意思の確認方法などをリアルな事例と等身大の言葉で紹介し、同世代に寄り添った内容となっている。

 3人は人間福祉学部で多文化共生などを学ぶゼミ仲間。性暴力の問題に関心があった岡本きららさん(20)が山下彩理(さり)さん(22)と共にゼミでハンドブックの作成を提案し、興味を持った山中彗司(けいじ)さん(24)も加わった。

 山下さんは、友人から「彼氏に性的行為を迫られて嫌だけど、どうしていいか分からなくて結局受け入れてしまう」と相談を受けることがよくあり、岡本さんも、同世代が「断る」という選択肢や断り方を知らないことに危機感を感じていた。山中さんは、自身が相手のOKサインの見極めに迷うことがあり、知識の必要性を感じていたという。

 実態把握のため3人は、2021年7月に性暴力に関するアンケート調査を学生に実施。134人が回答し、「身体的特徴への言葉の嫌がらせ(20・9%)」「同意のないボディータッチ(20・1%)」「痴漢(14・9%)」(複数回答)など55%の学生に被害経験があり、「ストーカー行為(8・2%)」や「同意のない性行為(1・5%)」も少なからずあることが分かった。このうち性暴力について誰かに相談できたのは38・6%にとどまっていた。

 加害者の内訳は「顔見知りでない人」が55・7%で最多だったが、「友人」が34・4%、「先輩」が11・5%、「恋人」も4・9%あった。山中さんは「恋人同士は本来暴力が生まれるような関係性ではないので衝撃を受けた」と明かす。

 結果を受け、ハンドブックでは性的行為を望むかお互いの意思を確認する「性的同意」について多くのページを割いた。「恋愛感情のない先輩と飲んだ後、先輩の自宅で性行為に誘われた時」「気分じゃない時に恋人から性的行為に誘われた時」「恋人と性交渉をしたいが相手がどう思っているか分からない時」などリアルな事例を設定。正解にこだわらず、「付き合っていない人とはできないと伝える」「お風呂は借りず、(体が)汚いから床で寝ると言う」など3人それぞれの対処法を紹介した。

 また、性的同意のない性的行為は「性暴力につながる」と強調。誰もが加害者や被害者になる可能性があるため、事例には「彼氏」や「私」など性別を表す言葉を使わなかった。岡本さんは「共感しつつ見てもらえたら」と期待する。

 ハンドブックはA5判22ページで、避妊法や相談機関も掲載。関西学院大ホームページでPDF版を一般公開している。新入生のオリエンテーションでも紹介される予定だ。【稲田佳代】

毎日新聞 2022/3/19 08:30(最終更新 3/19 08:30) 1168文字
https://mainichi.jp/articles/20220318/k00/00m/040/231000c
★1 2022/03/19(土) 08:47:51.10
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