宮城、福島両県で16日深夜に震度6強を観測した地震の影響で、両県のコンビニから一時、弁当やパンの姿が消えた。「買い占め?」「物流トラブル?」。ネット上はざわつき、東日本大震災の時のような長期の買い物難を懸念した「パニック買い」のような消費行動も見られた。コンビニの事情を探った。(報道部・勅使河原奨治、氏家清志)

「大震災後と同じ」
 仙台市宮城野区の主婦(42)は地震から一夜明けた17日朝、品薄になっているコンビニの商品棚を目にし、焦燥感が湧き上がった。

 「また大震災の時みたいになるかと思って缶詰やカップラーメンをまとめ買いした」

 会員制交流サイト(SNS)上には、商品棚が空っぽになった写真が次々とアップされ「カオス(混沌(こんとん))」「買い占め?」「大震災発生5分後と同じ」などの書き込みが相次いだ。

 青葉区のファミリーマート愛宕上杉店はパンの品薄状態が続いた。18日夕の時点でパンの棚の商品はほぼ全てなくなり、弁当も品薄だった。狩野保彦店長(60)は「高速道路も復旧したのになぜなのだろう。業者からは何の連絡もない」と首をかしげた。

宮城県南に集中
 18日に市内のコンビニを回ると、わずかだけ弁当が売れ残っている店が数店あった。どの店もパンが欠品していた。

 パン製造の最大手山崎製パンに問い合わせると、同社の仙台工場(宮城県柴田町)が被災していたことが分かった。同社によると、生産ラインのコンベヤーがずれ、復旧と清掃作業で17日昼まで生産が止まった。18日も注文を受けた商品の一部が出荷できなかった。

 「弁当も同じような状況だった」。流通大手の関係者が明かす。

 関係者によると、宮城、福島両県などのコンビニが取り扱う弁当の製造会社は宮城県南に集中している。地震でメンテナンスや清掃、保健所の確認作業が必要になり、品薄状態が重なったという。

 関係者は「大消費地の仙台に近いことと高速道路網に接続しやすい立地条件を好み各社が集中している。高速道路網がさらに充実すれば東北の他県に生産拠点を移せるだろうが、今後も状況は変わらないだろう」と話した。

河北新報 2022年3月20日 6:00
https://kahoku.news/articles/20220319khn000049.html