※2022/03/27 01:00

 ふるさと納税の返礼品業者らから9000万円を超える賄賂を受け取ったとして、受託収賄罪などに問われた高知県 奈半利なはり 町地方創生課の元課長補佐・柏木雄太被告(43)(懲戒免職)らの判決が28日、高知地裁で言い渡される。ふるさと納税を巡る全国初の汚職事件。公判では、巨額の寄付金を前に、公務員の自覚を失っていった状況が浮かび上がった。

競争に熱
 「多額の金を動かし、金銭感覚がおかしくなった」

 1月24日の被告人質問。違法行為に手を染めた理由を弁護人に問われた柏木被告はこう述べ、「生まれ育った奈半利に恩をあだで返してしまった」と語った。

 柏木被告は2016〜19年、ふるさと納税の返礼品の選定や発注を巡って便宜を図り、返礼品業者から約180万円を受け取ったとする受託収賄罪と、精肉店を経営する親族から9197万円を受け取ったとする収賄罪などで起訴された。

 柏木被告が、ふるさと納税の担当になったのは11年。「旬の魚の詰め合わせ」などの返礼品を考案し、就任時は年300万円程度だった寄付額を14年度に2億円超に押し上げた。業務をほぼ1人で担い、連日深夜まで作業をこなしたという。

 柏木被告は法廷で「町職員になってから時間を持て余してきた。ふるさと納税はやりがいがあった」と語ったが、他自治体との競争に熱を上げていく。

 寄付額に対する返礼品の調達価格の割合を8〜9割に引き上げ、17年度の寄付額は全国9位の39億円に。公判では「ふるさと納税は、自治体間のパイの取り合い」と述べる場面もあった。

親族と
 だが、人気とともに返礼品の供給が間に合わなくなり、業者の作業を自身や両親が手伝うように。その中で、業者との関係を深めた。

 検察側によると、上司の息子も雇うよう業者に求めた上、作業実態がないのに報酬を支払うよう指示。柏木被告は、親族の精肉店にも、同様に両親へ報酬を支払わせており、検察側はこれらの報酬が賄賂にあたるとしている。役場では、多額の寄付を集めた「エース職員」に口を出す人はいなかったという。

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読売新聞オンライン: 「金銭感覚おかしくなった」、ふるさと納税巡り9千万円の賄賂…元エース職員に判決へ.
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