日本大学の田中英壽前理事長が受け取ったリベートなどを税務申告せずおよそ5200万円を脱税した罪に問われた裁判で、東京地方裁判所は「大学の関係業者から謝礼を受け取っていたことを隠蔽しようとした動機は身勝手だ」として、執行猶予の付いた懲役1年の有罪判決を言い渡しました。

日本大学の前理事長、田中英壽被告(75)は背任事件で起訴された大阪市の医療法人の前理事長や日本大学の元理事から受け取ったリベートなどおよそ1億1800万円の所得を隠し、平成30年とおととしの2年間に合わせておよそ5200万円を脱税したとして所得税法違反の罪に問われました。

判決で東京地方裁判所の野原俊郎裁判長は「国内最大規模の学校法人の理事長がみずから主導して大学の関係業者から謝礼の趣旨で多額の現金を受け取っていた。現金は自宅で保管し所得から除外して確定申告するよう妻に指示していて、単純だが大胆な手口だ」として脱税の意図は明らかだと指摘しました。

そのうえで「平成27年にも税務調査で申告漏れを指摘されていたのに関係業者から謝礼を受け取っていたことが表沙汰になるのを隠蔽しようとした。動機は身勝手で酌量すべき事情はない」として懲役1年、執行猶予3年、罰金1300万円の有罪を言い渡しました。

国内最大規模の大学のトップを13年間にわたって務めた田中前理事長は淡々とした様子で判決の言い渡しを聞き、裁判長に軽く一礼して法廷をあとにしました。

2022年3月29日 17時46分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220329/k10013557131000.html