プレジデントオンライン3/31 17:00
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「東京ドームに押しかけて接種妨害」反ワクチン団体に参加しているのはどんな人々なのか、根底にあるのは、知的エリートへの劣等感と医療への不信感

■日本人の3分の1以上は科学的な話が苦手
そもそも、科学的な話に苦手意識を持つ人が人口に占める割合は決して少なくない。内閣府の「科学技術と社会に関する世論調査」(平成16年2月調査)によれば、「科学技術に関する知識はわかりやすく説明されれば大抵の人は理解できる」という問いに対し、「あまりそう思わない」と答えた人は19.3%、「そう思わない」と答えた人は16.0%を占めた。

「機会があれば、科学者や技術者の話を聞いてみたいと思うか」という問いへの回答では、「あまり聞いてみたいとは思わない」が22.8%、「聞いてみたいとは思わない」が24.4%だった。つまり、日本人の実に3分の1以上は「科学的な話は理解しにくい」と考えており、半数近くは「科学者や技術者の話はできれば聞きたくない」と思っているわけだ。

■『間違っている』と言われるのは嫌がらせに感じる」
もちろんこうした人々のすべてが、反ワクチン派になるわけではない。

過去に取材したケースの中から、実際の声をいくつか紹介したい。「尾身さん(尾身茂・新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)のことが気に入らない人はみんな、『偉そうに指図しやがって』と思っている」(元陰謀論者の40代男性)。「そうなったらいいなと思っていることを、専門家に『間違っている』と言われるのは嫌がらせをされているように感じる。こんな雰囲気が仲間うちにあった」(元陰謀論者の20代女性)。「アトピーの治療で医者が信じられなくなった。どうして嫌みを言われていじめられなくてはいけなかったのか」(ワクチンが信じられない男子大学生)。

科学的な説明を理解できない、あるいは理解する気がない。専門家が難しい話をしていると「偉そうだ」と劣等感を募らせ、自分の願望どおりの話をしないことに嫌悪感を抱く。医師への不信感を拭い去れない――。こうしたタイプの人々が、ワクチンを勧める専門家や医師の話を信用できないと、かたくなになっているケースが多かった。彼らはワクチンを批判する情報に感化されて反ワクチン派になったのではない。まず知的エリートへの劣等感や医療への不信感があり、そうした感情を正当化したり肯定したりしてくれるものとしてワクチン害悪論や陰謀論に引き寄せられた面が大きいのではないか。

反ワクチン派が他人のワクチン接種に干渉するのは、それが一層の自己肯定感を得られる行為だからだ。会員制交流サイト(SNS)やデモで「ワクチンを打つな」と声をあげたことがある人々は、主張しているときとても気分がよかったと語っていた。

■承認欲求やプライドを刺激される
家族が反ワクチン派になってしまったという30代女性は言う。「(問題の家族にとっては)『反ワクチンの先生たちは自分たちをわかってくれている』という信頼感がすごい。わかってもらえたり認めてもらえたりした経験がきっかけで、深入りしていったみたいです」

高齢者が陰謀論に染まって反ワクチンデモに参加する場合も、承認欲求やプライドを刺激されているケースが多い。若い人たちが参加を歓迎してくれるだけでなく、役割を与えられた気がする。運動に貢献すればするほど、自分本来の能力に見合う尊敬を得られる気がする。次々と新しい情報が耳に入り、未知のできごとが発生し、みんなで協力して乗り切る充実感がある――。そんなポジティブな精神状態になれるのだ。

■過激陰謀論団体に高齢の父親がハマった
東京ドームで接種阻止をもくろんだ陰謀論団体は、「神真都Q(ヤマトキュー)」という名を名乗っている。構成員は40代から50代がボリュームゾーンで、次にそれ以上の高齢者が多い。デモや実力行使の様子を見ると、地方ではむしろ高齢者を中心にした組織のように思われる。

■現代社会に居場所を見つけられない人々
高齢者だけでなく現役世代の構成員たちも、現代社会に居場所を見つけられない人が多いようだ。「本も雑誌も読まない人っていますよね。世界地図で知ってるのは日本とアメリカと中国くらい。浜崎あゆみくらい(の時代)で時間が止まってる人、やたら堅物で冗談ですらない世間話も通じない人もいたし。みんな何かがずれてる」と話してくれたのは、神真都Qの構成員と接触した40代の元反ワクチン派男性だ。
(一部略、全文はリンク先で)

★1:2022/04/01(金) 14:04