【ワシントン=塩原永久】ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊でロシア軍による市民への残虐行為が報告されている問題で、バイデン米政権は、ロシアへの追加制裁を週内にも発表する方針だ。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は4日、同盟国などと連携して圧力強化に乗り出すと表明した。米議会からも一段と厳しい対抗措置を求める声が強まっている。

バイデン米大統領は4日、ロシアのプーチン大統領を「戦争犯罪者」と呼び残虐行為を非難したうえで「制裁を追加し続ける」と強調した。サリバン氏は同日の定例記者会見で、追加制裁を今週中にも発表する方針を示した。

サリバン氏は、欧米の経済・金融制裁が「ただちに(ロシアの)行動を変えさせるとは期待していない」と指摘。十分な効果が出るまでには時間を要するとの認識を示した。

米政府は1日も、ロシアの軍事産業や政府機関など120団体を禁輸対象に加えると発表したばかりだ。「(ロシアの)孤立をさらに深める」(レモンド米商務長官)ほか、ロシアによる戦争継続を困難にする狙いがあるとみられている。

一段と踏み込んだ対露制裁を求める声は議会でも強まるばかりだ。上院外交委員会の共和党トップ、リッシュ議員は4日、「国際社会はプーチンと取り巻きに対し、戦争犯罪の責任を取らせる断固たる行動に出なければならない」との声明を出した。

米政権は制裁をめぐるロシア包囲網を強化する動きを加速させている。シン大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)が1日、インドを訪れ「対露制裁の目標と仕組みを協議した」という。米財務省高官も4日、ベルリンを訪問するなど関係国との調整を急いでいるもようだ。

一方、ブリンケン国務長官が5〜7日の日程でブリュッセルを訪れ、北大西洋条約機構(NATO)外相会合に参加する。米国務省によるとブリンケン氏は、先進7カ国(G7)の閣僚級会合にも出席する。

産経新聞

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