新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が続く中、回復後に倦怠感や息切れ、認知機能障害などの後遺症が一定数で現れることが明らかになっている。
Long COVIDと呼ばれ、症状が遷延化し、日常生活に支障を来す例も報告されている。

嗅覚・味覚障害、めまい、耳鳴り、難聴を訴え、耳鼻咽喉科を受診する例もいることを受けて、
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は4月11日、特に嗅覚・味覚障害を来した患者への対応について声明を発表。

同学会員に向けて、患者に対し治療には長期を要することを説明した上で、精神面でのサポートも含めた診療を行うよう求めた。


今回、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、嗅覚・味覚障害を訴える例の多くが「異嗅症状、異味症状を自覚し、
食欲の低下から身体面、精神面の不調を来す」と指摘。

「現時点でCOVID-19 により発症し長期間持続する嗅覚・味覚障害に対する治療法は確立していない」としつつ、症状別に治療法を一部提示している。

それによると、@鼻副鼻腔炎が存在する場合はステロイドの全身あるいは局所投与などで改善する場合もある、
A鼻副鼻腔に異常を認めない場合、嗅神経性嗅覚障害とし通常の感冒後嗅覚障害治療に準じて当帰芍薬散や嗅覚刺激療法が有効な可能性がある、
B味覚障害患者で血清亜鉛が低値を示す場合は、亜鉛製剤の適応と考えられるーとしている。

なお、治療の参考資料として『嗅覚障害診療ガイドライン(2017年版)』を同学会のサイトで紹介している。
https://medical.jiji.com/news/51903