日銀の野口旭審議委員が、このところの円安ドル高について「現状ではプラス面の方が大きい」と発言したのに対し、
日本商工会議所の三村明夫会頭は「デメリットの方が大きい」と述べたという。

こうした見解の違いは、それぞれどこを見て話しているかによって生じる。

為替動向は輸出入や海外投資を行う業者にとって死活問題だ。円安は輸出企業にとってはメリットだが輸入企業にとってはデメリットだ。
また、これから海外進出を考えている企業にとってはデメリットであるが、すでに海外進出して投資回収している企業にとってはメリットがある。
もちろん急激な為替変動を避けるべく一定の為替ヘッジをしているだろうが、基本的な為替の影響はここに述べたとおりだ。

まず中小企業への為替の影響を考えてみよう。海外投資は少ないので、輸出入の影響を強く受ける。

中小企業庁による規模別輸出額・輸入額の統計は、残念ながら2012年をもって廃止されたが、それ以前の数字でも基本的な特徴は分かる。

輸出額について、中小企業分、大企業分、共存分で分かれており、比率は約15%、約39%、約46%。
輸入額については、それぞれ約36%、約31%、33%だ。中小企業は大企業に比して輸出が少なく、輸入が多い。
つまり、中小企業は大企業より円安によるデメリットを受けやすいのだ。三村会頭の意見は、中小企業を代弁している。

一方、野口委員はどうか。輸出企業には大企業が多く、世界市場で伍(ご)していけるエクセレント企業もある。
一方、輸入企業は平均的な企業だ。この場合、エクセレント企業に恩恵のある円安の方が日本経済全体の国内総生産(GDP)を押し上げる効果がある。

これは、日本に限らず世界のどこの国でも見られる普遍的な現象だ。輸出の多寡により効果は異なるが、いずれも自国通貨安はGDPへプラス効果があるのだ。

つまり、野口委員の発言は、日本経済全体を考慮したものだといえる。なお、円安でGDPが増えれば雇用にもプラスになるので、
労働者のためにもなるのはいうまでもない。主として大企業で構成されている経団連の十倉雅和会長は、最近の円安について、大騒ぎすることではないという見解を示している。

ただし、大企業の中でも金融業界の意見は特殊だ。金融業界は、今の低金利環境では利ざやが稼げない。
このため、金融業界の利益のために金利高をもくろみ、今の円安に否定的なことを言って円高誘導からの金利高に持っていこうとする。

マスコミに出るエコノミストはほとんど金融業界の人なので、彼らの意見にはよく注意したほうがいい。
これは日本経済全体にはよくないが、かつての日銀は金融業界の意見に引きずられたこともあった。

いずれにしても、各財界の意見は、それぞれの団体や機関の利益を代弁しているだけと思えばいい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

https://www.zakzak.co.jp/article/20220414-6RHY6GKDFNKQZEC4VHGF23NR2Q/

※前スレ
高橋洋一氏「世界的大企業に恩恵がある円安の方が日本経済にとってプラス」 [ボラえもん★]
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高橋洋一氏「世界的大企業に恩恵がある円安の方が日本経済にとってプラス」 ★2 [ボラえもん★]
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高橋洋一氏「世界的大企業に恩恵がある円安の方が日本経済にとってプラス」 ★3 [ボラえもん★]
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