※NHK 2022年4月15日

「私はこの場では被害者として立っていますが、『被害者』ではなく、意思を持った一人の人間です」

「私は、性暴力とは一人の人間から尊厳を奪う、意思を持った一人の人間を、ただの女あるいは男として、暴力の対象として、支配欲のはけ口として記号に押し込め、人格を深く傷つける、そういった罪だと考えています」

「普通の人間が、普通に安全に、これからも生きていける世の中を作る判断をしてください」


これは見知らぬ男から性的暴行を受けた20代の女性が、裁判でついたて越しに加害者と対じしながら、裁判官や裁判員に向けて語ったことばです。法廷に響き渡った、15分間に及ぶ訴え。1審の東京地方裁判所は、懲役10年を言い渡しました。(※加害者は強制性交を認めたうえで控訴)

勇気と覚悟がこもったそのことば。ご本人の許可を得て、その全文をお伝えします。

(「性暴力を考える」取材班 村山世奈 飛田陽子)

※この記事では性暴力被害の実態を広く伝えるため、被害の詳細について触れています。フラッシュバックなど症状のある方はご留意ください。

INDEX
恐怖のどん底へ 唯一の救いは“正しい知識”
被害後も続く苦しみ それでも・・・
法廷で語った15分間のことば <全文掲載>
懲役10年の1審判決
取材を通して
恐怖のどん底へ 唯一の救いは“正しい知識”
昨年末、取材班の元に1通のメールが届きました。

はじめまして。自身の被害に関する裁判や活動を取材いただきたくご連絡をしました。私は2年前、社会人1年目で働き始めた時に、当時一人暮らしをしていた自宅へ夜中侵入され、性暴力の被害に遭いました。加害者は逮捕されましたが、その後も苦しみが続いています

メールをくれたのは、20代のそよかさん(仮名)。加害者の刑事裁判がこれから始まるのを機に、自分の体験や思いを多くの人へ伝えたいという内容でした。


年明けにお会いすると、落ち着いた様子で被害について打ち明けてくれました。

社会人1年目のとき、オートロック付きの自宅マンションで寝ていたそよかさんは、深夜2時半ごろに物音がして目が覚めました。寝ていた部屋と玄関を隔てる扉の隙間から、人影が見えたのです。その日は疲れていて、部屋の施錠を忘れていた可能性がありました。とっさに扉を閉めようとしましたが、強い力で開けられ、見知らぬ男に口を押さえられたといいます。そして「おとなしくしてたら怖いことしないから」などと言われ、性行為を強要されました。男が何者なのか、凶器を持っているかも分からないなか、死の恐怖を感じて抵抗はできなかったといいます。

続きは↓
nhk.or.jp: “性暴力”裁判 被害女性が語った15分のことば.
https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0026/topic054.html