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2022/04/20(水) 18:00:23.38ID:2/jMcu5s9ヒラツボカレハは、羽が枯れ葉のような色や形をしているカレハガの一種。雄が五センチほど、雌が七・五センチほどで島の固有種とみられる。本土で知られている同種のガと比べて体が小さく、色味が濃いのが特徴だ。
平坪さんは二〇一八年十二月に奄美大島でこのガを採集したが、新種と分からなかった。三年後、標本を整理していると、ほかのカレハガとは色合いなどが明らかに異なることに気付いた。日本蛾類学会の岸田泰則会長(72)に解剖して調べてもらったところ、新種と判明。岸田会長は今月に発表した新種発見に関する論文で「ヒラツボカレハ」と命名した。
体長一センチ以下の小型では新種発見は時々あるが、岸田会長は「中型以上の新種は日本にはもういないと思われていた。その中での発見はすごいこと」。平坪さんの前の中型以上の新種発見は、一九六六年までさかのぼるという。
平坪さんは子どものころ、祖父の影響で昆虫採集を楽しみ、名鉄バスに運転手として勤め始めてから再び趣味としてはまり始めた。魅力は「ガは採集する人も少なく、新種も含めて分かっていないことが多い」こと。極彩色よりも、今回の新種のような「シックな」(平坪さん)色合いのガが好きという。休みがあれば岐阜県高山市の山間地に足を運び、奄美大島にも十回以上通っている。
ガは、夜間に水銀灯をつけて引き寄せ、虫捕り網で採集する。海外から渡ってくる種類もあり「暗闇の中で何が飛んでくるのか分からない楽しみがある。当日の気象や山の状態など土地柄も出て面白い」と平坪さん。日本蛾類学会で自然保護委員も務め、「人気のある昆虫の中には密猟の対象になり、採集が禁止されていることもある」と、現地のルール通りに採集を楽しむことを呼び掛ける。
最近では、羽の紋様の多種多様さからガの採集に興味を持つ若い女性も増えているといい、岸田会長は「身近な昆虫とのかかわりは自然に触れ、自然を学ぶのに最適。多くの人に興味を持ってほしい」と語った。
中日新聞 2022年4月20日 16時00分 (4月20日 16時00分更新)
https://www.chunichi.co.jp/article/456556