一宮俊介

毎日新聞 2022/5/6 05:00(最終更新 5/6 10:42)

 九州の多くの高校で続く「朝課外(あさかがい)」について、昨年、宮崎県の高校生が見直しを求めていることを記事にしたところ、県議会で取り上げられ、廃止を決める学校が出てきた。他県では定期テストと一緒にやめた高校もあり、朝課外のあり方を見直す動きが少しずつ広がっている。【一宮俊介】


 朝課外は、教育課程に基づかない非正規の授業で、通常の始業時刻より約1時間早い午前7時半ごろから45分間程度実施されている。それぞれの地域で「朝補習」「ゼロ時限」「早朝講座」「朝特課」とも呼ばれている。

 宮崎の伝統的な進学校、県立宮崎大宮高校の記念誌「大宮高校百年史」をめくると、昭和35(1960)年度には見当たらなかった「朝の課外」が、2年後の昭和37(62)年度の時間割に登場する。この時期は大学進学率が上昇し始めた時代と重なる。

 長年根付いてきたこの風習について、2021年7月、県立延岡高校の生徒会長が「生徒がどう思っているのかを確認したい」と学校に生徒アンケートの実施を求めていることを記事にした。

 記事掲載後、保護者から「子供は課外でクタクタになっている」といった声や、現役の教員から「教員の立場からも朝課外の廃止を求めたい」との訴えなど多くの反響が寄せられた。

 県議会では21年9月、田口雄二議員が「本県では生徒たちが日常のことのように朝課外に参加しているが、全国的には珍しい。本当に必要なものか見直すことが求められているのではないか」などと質問。
それに対し、県教育委員会の黒木淳一郎教育長は「教師の働き方改革やICT(情報通信技術)の整備が進む中、課外も含め多様な学びの支援のあり方について考える時期に来ている。他県の状況や関係者の意見を踏まえ議論を深めていく」と答弁した。

 また、広島県出身の河野俊嗣知事が「私も子供が県立高校でお世話になったので、早朝から学校に向かって勉強している姿を見て驚いた記憶がある」と話す場面もあった。






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