【ダボス(スイス東部)=南毅郎】

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)でオンライン形式で演説した。
侵攻を続けるロシアを非難したうえで「最大限の制裁が必要だ」と国際社会に圧力の強化を呼びかけた。
ウクライナの財政運営には、少なくとも1カ月あたり50億ドル(約6300億円)規模の支援が必要との認識も示した。

ロシア産原油の禁輸など経済制裁の実効性を高める取り組みを訴えた。
ロシアの資産を凍結した上で「戦争で影響を受けた人々を助けるために資金が提供されるべきだ」とも指摘。
ロシアの侵攻で滞る穀物などの輸出再開へ周辺国と協議を進めていることも明らかにした。

ダボス会議は26日まで、国家首脳や企業幹部ら2500人近くが参加する。
新型コロナウイルス禍の影響で対面形式での開催は2年ぶりだ。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長なども参加する予定で、
ウクライナ危機のほかインフレや世界経済の見通しについても議論を交わす。

ウクライナ最高会議(議会)は22日、ロシア軍による侵攻が始まった2月24日から敷かれている戒厳令について、
さらに3カ月延長すると決めた。これまで1カ月ごとの延長だった。長期戦は不可避と判断したとみられる。

東部ルガンスク州の知事は22日、同州のセベロドネツクにロシア軍が4方向から侵入しようとし、ウクライナ軍が撃退したと表明した。
ロシア軍の前進のペースは限られているもようだ。

ロシアはルガンスク、ドネツク両州の東部ドンバス地方の制圧を急ぐが、
米シンクタンク「戦争研究所」は「ロシア軍の東部での22日の前進はごく限られた」と指摘した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR234Y70T20C22A5000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1653305191