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熊本大大学院人文社会科学研究部の小畑弘己教授(考古学)らは25日、約3千年前の縄文時代末期にアワなどの穀物が渡来していたことが分かったと発表した。穀物は縄文土器から見つかり、「同時期にイネも来ている可能性が高い。弥生時代の定義の見直しにも波及する可能性がある」としている。

 定説では日本での穀物栽培は弥生時代早期に始まったとされるが、詳しい年代は議論が続いている。これまで「縄文時代に始まった根拠」と主張された炭化した米などもあったが、年代測定の結果、後代のものが混入していたことが判明。縄文時代の穀物の存在は十分に立証できていなかった。

 小畑教授らは、江辻遺跡(福岡県粕屋町)から出土した縄文時代末期の土器を調査。破片の内部に残る炭化したアワをエックス線CTなどで検出した。取り出して年代を測ると、これまで弥生時代で最も古いとされる炭化した米より、約50~80年さかのぼる結果が出た。

 小畑教授は縄文時代の終わり頃、北部九州の縄文人が朝鮮半島の青銅器文化の人々と接触して穀物を手に入れ、小規模ながら栽培していたと想定。「弥生時代は紀元前9世紀後半から8世紀に始まった、という説の可能性が高まったのではないか」と話している。