【シリコンバレー時事】米連邦最高裁は5月31日、インターネット交流サイト(SNS)を規制する南部テキサス州の州法を差し止める判断を下した。SNS規制をめぐり米最高裁が一定の判断を示した形になった。この問題では、別に訴訟が進行中で、それが終わるまでは、少なくとも州法の施行は先延ばしされる。

 投稿管理を規制するテキサス州法をめぐり、IT業界2団体が施行差し止めの仮処分を求めていた。下級審による差し止め命令は一度取り消されたが、最高裁で今回、それが覆された。二転三転の判断が現代米国社会を分断する微妙な問題を浮き彫りにした。
 差し止めは認められたものの、最高裁判事9人のうち、4人が反対し、僅差の決着だった。反対に回った判事の一人は「制裁金を認める法律ではなく、SNS企業は主張の機会を与えられる」などと指摘し、州法を擁護した。賛成意見は明らかにされていない。
 この州法は、月間5000万人以上が利用するSNS企業に対し、投稿への「検閲」を禁止。違反した場合は、利用者や州当局が提訴することを認めている。
 昨年9月にアボット知事が署名したことを受け、米団体ネットチョイスなどが提訴し、仮処分も申請した。連邦地裁は差し止めの仮処分を命じたが、5月11日に控訴裁判所が取り消していた。
 ネットチョイス側は裁判で、州法の規定が編集の権利を認めた合衆国憲法に違反すると主張。「ナチスドイツを擁護するスピーチや医療に関する誤情報、テロリストの宣伝活動、外国政府の偽情報を広めることを余儀なくされる」として違憲判決を求めている。
時事通信 2022年06月01日13時31分
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