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2022/06/09 05:00





灯りをつないで 西成の眠らない食堂<1>

 パンデミック(世界的大流行)、東京五輪・パラリンピック延期……。2020年4月、新型コロナウイルスの流行は既に止めようのない段階にあった。

 次々と店が閉じていく街の片隅で、食堂「わらじや」(大阪市西成区)の店主、高橋功(72)と妻、貴子(73)が休業を決めたのは、全国初の緊急事態宣言が発令される前夜だった。

 空になったネタケースのスイッチを切り、素手で回せないほど固くなったガスの元栓は、スパナで無理やり閉めた。開けっ放しだったシャッターはさびついて、きいきいと音を立てた。

 シャッターが下りたその時、四半世紀続いた一つの「記録」が、ひっそりと途絶えた。






店内もコロナで変化

 大阪市西成区役所の斜め向かい、繁華街の 喧騒けんそう から離れた街の片隅に、食堂「わらじや」ののれんは下がる。換気のために入り口は半分開かれ、L字形の木のカウンターの角には消毒液。 飛沫ひまつ を防ぐビニールの垂れ幕、透明のアクリル板がキッチンと客、客と客の間に仕切りを入れる。

 「まいど」。入り口に目を向ける店主に、客がマスクをずらして顔を見せると、途端に会話が弾みだす。新型コロナウイルスがもたらした変化は、15席の小さな食堂にも満ちている。

 壁中に貼られたポスターは色あせ、天井にはおでん鍋から上がる湯気が作った茶色のしみ。1975年の開店以来の歴史が刻まれた店内で、店主の高橋は妻、貴子と往時を懐かしむ。「キッチンにござ敷いて、客の注文の合間に寝たこともあったんや」
     ===== 後略 =====
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