https://kahoku.news/articles/20220620khn000032.html

 「立ち直れないほどの悲しみは今でも続いている」。夫の自殺を巡り、住宅建築業ハシモトホームに損害賠償請求訴訟を起こした遺族の妻は20日、弁護士を通じてコメントを発表した。

 弁護士によると、パワハラは少なくとも半年以上続いていたとみられる。「なんぼ頭わりのや」「相変わらずダメポンだな!」といったメールが複数回、送信された。

 苦悩する姿を見た妻は何度も退職を促したが、夫は「家が完成して、お客さんに鍵を渡す時が一番うれしいから続けたい」と気丈に振る舞った。

 2018年1月23日、関連会社も交えた新年会の余興で、男性は課長が作った「症状」を手渡された。そこには「今まで大した成績を残さず」「あーあって感じ」「細菌」「頑張ってない様ですが」という言葉が並ぶ。

 「症状」は翌2月、男性が自ら命を絶った後、妻が夫の部屋にあった紙袋から見つけた。妻はコメントで「こんな『症状』を渡して、家族が見たらどう思うのか、何も想像しなかったのかと不思議でなりません」と憤る。

 男性はうつ状態になっても病院に行くことができず、死亡後に精神疾患発病と認定された。発症前1カ月間の時間外労働時間は、過労死ラインに近い76時間9分。妻は20年2月、青森労基署に労災を申請し、12月に認定を受けた。だが、会社側からは、いまだに謝罪の言葉がない。