國友公司
2022.07.21

コロナ禍で、今やすっかり日常風景となったのが自転車で街を疾走するフードデリバリーの配達員の姿。テレビなどでもしばしば取り上げられ、やり方によってはオフィスワークより稼ぐことができると、背広を脱いで、本職にする人たちも増えている。果たして、その現場とは。ルポライターの國友公司氏が取材した――。





満員電車におさらばし、愛車で丸ノ内まで「通勤」

「ルールさえ守らなければ月に40万円など楽に稼ぐことができる」と自慢げに話すのは、フードデリバリーのみで生計を立てるマモルさん41歳(男性・仮名)。誰もが知る外資系大手企業の配達員だ。

マモルさんの本拠地は東京都千代田区丸の内のオフィス街。自宅のある千葉県市川市から東京駅までは、JR総武線で一本である。オフィス街の人々がランチを終え、注文が落ち着いた14時ごろ、マモルさんの貴重な時間をいただき、丸の内のファストフード店で話を聞いた。一体、どんなルール違反を犯しているのだろうか。

「店の敷地内に停めれば、駐禁の奴らも警察も口出しできないから」

そう言うと、マモルさんは配達で使っている愛車の「スーパーカブ50」を、自動ドアの横に堂々と無断駐車した。レジにいる従業員も気が付いているが、客の対応に追われて注意する間もない。マモルさんは毎朝9時にカブで市川の自宅を出発し、約1時間かけて丸の内まで出勤しているという。

「配達員を始めた1年前は、サラリーマンたちと一緒に満員電車に揺られて丸の内まで来ていた。都内はそこらじゅうで電動自転車が借りられるだろ? それに乗って企業の社畜どもに昼メシを配達していたんだけど、自転車だとこなせる数に限界があるんだよ。だから、急いで原付の免許を取ってカブを買ったんだ」




GPSに映し出された、ありえない速さの配達員
https://mag.minkabu.jp/mag-sogo/25178547019/