どうも、はっきりしない。参院選での日本維新の会の結果だ。比例代表の得票では立憲民主党を抜いて野党1位となる一方、精力を注いだ京都や東京といった最重要選挙区は落とした。はたして勝ったのか、負けたのか。そして、この政党の将来性はどうなのか。維新政治を研究している冨田宏治・関西学院大教授(政治学)に話を聞いた。【聞き手・澤俊太郎】

「現代イデオロギーを体現する政党」
――維新は比例で立憲(677万票)を上回る784万票を獲得し、伸長しました。この結果をどう見ますか。

 ◆維新は橋下徹氏が代表だった2012年に国政へ進出し、衆院選の比例代表で1200万票以上を取った。当時は石原慎太郎氏らの太陽の党と組んだという事情もあったが、私は今回、維新が1000万票近く取っても不思議ではないと思っていた。21年衆院選での勢いを考えれば、思った以上に票が伸びなかったというのが率直な感想だ。

――維新が1000万票近く取れる力があると思っていた理由はなんでしょうか。

 ◆現代の支配的なイデオロギーを体現しているのが維新という政党だ。小泉政権による構造改革以降、日本社会では改革こそ成長だという新自由主義が台頭してきた。今の中堅世代では自己責任とか、競争こそが成長をもたらすといった感覚が当たり前のように刷り込まれている。

 この新自由主義的な考え方をどこよりも体現しているのが維新。日本社会を支えている30~50代の中堅サラリーマン層以上の「勝ち組」が、維新を支持すべき政党とみなしても何ら不思議ではない。特に現在の岸田政権が結論の先送りばかりでどちらを向いているか分かりにくいなかで、維新は存在感を示しやすい状況にある。

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毎日新聞 2022/7/30 11:00(最終更新 7/30 11:02) 有料記事 3469文字
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